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11.


といってから少しして、

「焼き鳥」

『はぁ?』

「つくね」

『いやいや、』

「からあげ」

『…お前ね、』

「炙り照り焼き」

『ふざけてる?ふざけてるよね?』

「マリネ」

『一瞬名前っぽく聞こえたけど違うよね?違うよ、完全に。…あのね、今後名前呼ぶ時に焼き鳥とかつくねとか呼べるわけ?ねぇお前大丈夫?』

俺とイチルはこの会話を繰り返していた。

結局、俺が魚を逃がし、ゆで卵が孵り、パンを地面に落としたイチルは残されたスープだけを惨めに啜りながら雛を眺めていた。

俺の隣に座りながら嬉しそうに目を細めてすりすりしてくる雛の何が気に入らないのか、思いっきり不機嫌そうに眉を寄せて軽く睨んでさえいる。俺は雛を隠すように翼を広げた。

そして、雛に聞かれないように心の中で、

────お前ね、睨まないでくれる?

────すりすりしすぎだろ、そいつ。

────はぁ?子どもなんだから当たり前じゃん!さっき生まれたばっかなんだよ?

────だからって!!

ちっ、と俺にだけ聞こえるように心の中で舌打ちしたイチルはまた表情を顰めた。今度は睨んで来ることはなかったが、やはり不機嫌そうに、不満そうに窓の外を眺めていた。

「俺の朝食」

『それまさか名前候補?』

「元ゆで卵とかゆで卵出身」

『ゆでられてないから』

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王には世界を守る義務がある。
そして、俺にとっての世界は君である。