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9.


で、俺の仲間は予想外の展開にフォローしてくれる奴らじゃないと思い知った。

「第一子おめでとう!」

ホーリエの笑顔が輝かしい。

揶揄とかじゃなくて本当に嬉しそうなんだからタチが悪い。そして、契約主が上機嫌なのを感じとったのか、どこからともなく水が溢れて人形となりマーメイドが現れた。

波打つ髪を梳いて整えた彼女は雛を見付けると、花が咲くように頬を綻ばせ、水飛沫を弾けさせる。その澄みきった水飛沫も床や壁に触れる前に空気となり、消えていったが。

『まぁ、可愛い!風の王にそっくり!』

『俺が産んだわけじゃ、』

『名前は決めたのかしら?』

『…話聞いて。ねぇ話聞いて』

一気に疲れた気がする。

パーティーの良心であり、唯一の常識人だと思っていたマーメイドでさえこれだ。もうどうすればいいか分からない。

(どの世界でも女の子って可愛いものが好きだよね。この子、ふわふわもこもこだし…)

って、

『名前?』

そう聞くと、空中でふわふわ泳ぎながら雛を眺めていたマーメイドが俺を見た。

先に行くにつれて白く透き通って消えていくような大きな尾鰭が水を纏う。この時期でも彼女の水は凍らないんだから、本当に神秘的だ。

『真名よ。契約の時に使う本当の名前』

『俺が決めるの!?』

『親から産まれた聖獣は親がつけてあげるのよ?…私達高位に位置する十二体は自然から直接産まれるから例外だけれど、』

口が半開きになっていくのが分かる。

突然のホラーの後に突然の子持ちと突然の重任。真名っていきなり言われても頭が反応できるはずがなく、イチルに助けを求めた。

『…お父さん、どうしよう』

「いや、俺に振るなよ」

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王には世界を守る義務がある。
そして、俺にとっての世界は君である。