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7.


だが、次の瞬間、俺達が絶句した。

『ひっ!?』

コトリ、と卵が動いたのだ。

誰にも触れられず、皿の上で。

『え、えぇえええ、ええ!?』

「え、本当に動いたの?ゆで卵が!?」

「マジで!?そりゃねぇだろ!」

「嘘じゃねぇよ!さっきも動いた!」

もうパニックだった。

動くゆで卵なんて聞いたことがない。だが、今、まさに俺達の目の前で卵は動き、皿と硬い殻がぶつかり合う音が聞こえるんだ。

『え、なにこのホラー!?魔法の世界だからってこれはなくない?無理無理無理!』

「タク、ねぇからな?あってたまるかよ!」

「ねぇなにこれゾンビ!?」

「とりあえず全員落ち着け」

そして、ピシッと、

『ひっ!』

卵にヒビが入って、割れた。

そこから出てきたのは羽も生え揃えていないどころか、まだ濡れたままの小さな雛で、クリクリの丸い目がたまたま隣にいた俺を見る。

小さな、だが、そうは言っても俺と同じくらいの大きさの雛だ。たぶん、小鳥じゃなくて成長すればもっと大きな鳥になる。黄色いまだ頼りない羽、真ん丸のオレンジ色の瞳。その瞳は室内の光を受けて、キラキラと輝いていた。

そして、可愛らしい雛が鳴いた。

第一声は間違いなく俺を見て。

『かあさま!』

とりあえず、イチルの朝食がパンとスープだけになったと確定した瞬間だった。

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王には世界を守る義務がある。
そして、俺にとっての世界は君である。