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3.


(あれが加護なんだ)

フェニックスがフレイに与えた力。

フレイ亡き今、千年経っても消えない力。

かつて豊かだった土地から闇の精霊達を焼き払い、居場所を奪い、その結果魔獣を生み、未だに闇の精霊達の戻る場所とはならない。

あの広大な地を元に戻すことが出来たなら、きっと闇は溢れなくなる。魔獣も生まれなくなって、イチルだって助かる。そのためにはフェニックスとの正面衝突は避けられない。

(俺達は、今はそのフェニックスの目と鼻の先にいるんだけどね…)

あとはドラゴンを待つだけだ。

手伝ってほしいわけじゃない。これは俺とフェニックスの勝負であり、俺が決着をつける。

だが、下手をすれば王が二人共倒れになり、世界に闇が溢れかねないこの状況に、抑止力であり保険にもなりえる彼の存在は欠かせない。

ドラゴンはどう思うのだろうか。

こんな、馬鹿な頼みをされたら。

(万が一の時は…俺を殺せ、なんて)

イチルを堕ちさせるつもりはない。

未来を彼一人で歩ませるつもりもない。

だが、炎を司る勇猛な王相手に勝ち、生きて帰ってくる自信はあるのかと問われれば、俺は簡単に首を縦に振ることができなかった。

この世界にとって王とは重要で、勝手に死んで王位から降りるなんて無責任な行為で、到底許されることじゃない。

それでも、俺は世界よりも俺の唯一の人を選んで、言ってしまえば世界を救うなんてついでしかなくて、無謀な賭けに出た。

(引かないし、譲らない)

たとえそれがたったの一歩だとしても。

(…絶対にだ)

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王には世界を守る義務がある。
そして、俺にとっての世界は君である。