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2.


「(他のSSランクにも会ったことある?)」

『んー、そのSSランクってのはやめないかい?それは人間が決めた呼び方であって、僕ら聖獣は使わないんだ』

「(じゃあなんて呼べばいいの?)」

『王、主、始祖神獣、呼び方は他にも多々あるよ。…そうだね、彼らとはかれこれここ数百年くらいは会っていないかな』

数百年という長さに息を呑んだ。だが、その反応すらもドラゴンにとっては幼くて可愛いらしいようで、グルグルと楽しそうに喉を鳴らした。

ウロコから徐々に細かいふわふわの毛に変わっていく耳を、犬のように後ろ足でカリカリと掻いては気持ち良さげに目を細める。彼の姿は秋色に染まった風景とよく映えた。

『僕は気に入った人間がいれば契約するけど、他の連中は人間とは離れて暮らしたいらしい』

高位の十二体が人間と契約するのは本当に稀だと聞いたことがある。それは魔力が吊り合う人間が少ないことと王達の性格に理由があるらしい。

だったら、

「(俺もイチルと契約できる?)」

それを聞いたのは何故だろう。

俺にはまだこの世界で生きていく覚悟はなくて、自分が誰かに使役されるなんて到底考えられない。なのに、イチルの傍ならいてもいい、と頭のどこかでそう考える自分がいた。

だが、その質問にドラゴンは、

『無理だよ』

悩む素振りもなく、そう答えた。

『他の奴となら大丈夫だけど、あの王子様はダメ。契約には魔力が必要だ。残念だけど、ほんの少しもない奴に契約の権利はないのさ』

「(これから魔力が目覚める可能性は?)」

『それもない。魔力量は生まれた時に決まる。生まれた直後に目覚めて、十五歳くらいに全大量がはっきりして、それ以降の努力次第で生まれ持った魔力をどれほど活かせるかが変わってくる』

「(だったら…)」

『苗なくして木は育たない。努力したところで伸びるものもないって話だよ』

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王には世界を守る義務がある。
そして、俺にとっての世界は君である。