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3.

※イチルside

その後、乱戦状態となった。

負けず嫌いのホーリエは俺が全部避けたのに自分が一発で水を浴びせられたことを不服に思ったらしく、次々と狙い撃ってくる。

俺もマーメイドが入れてくれた水の残量に気を付けて応戦していたが、ふとどれだけ撃っても水が減らないことに気が付いた。マーメイドに聞いても水は足していないのだと言う。

つまり、自分で水を補給できたわけで。

浮かれて喜んでいた頃に、ホーリエに顔面を撃たれた。そして、あの一言が返された。

水も滴るいい男になったね、と。

そこからは先程よりも激しい乱戦となり、ついにホーリエがクシャミをした。そして、それでも止まらない俺達に途中から心配そうにしていたマーメイドがついに強制終了を宣言した。

頭から水鉄砲の比にならない大量の水を浴びせるという、単純かつ乱暴な方法で。

で、いい加減寒くなった俺達は先を争うようにして宿に戻り、それぞれの部屋でシャワーを浴びた後、今日の成果を確認するべく俺はホーリエとマーメイドを部屋に上げた。それが十分前。

「まぁ、水は生成できるようになったよね。…弱っちいEランク魔法だけど?」

いまだにむすっとしたホーリエが言う。

「悪かったな、弱っちくて」

ふん、と鼻を鳴らしたホーリエが湯気の立つ紅茶の入った上品なカップに手を伸ばす。因みに、この水は俺が生成したものではなく、宿の裏にある井戸から組み上げたきちんとしたものだ。

俺も一口を紅茶を飲む。芯まで冷えきった体に染み渡る温かいそれに、はぁ、と吐き出した息が偶然にもホーリエと重なった。

そして、どちらからともなく照れ笑いをした。

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王には世界を守る義務がある。
そして、俺にとっての世界は君である。