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3.


『あっはははは、んふッ、…ふは、ぅ、待って、おちび、さ……、っぶは、ぐ……ぁ、はははははは!!ごめ、待っ、…ぁ、無理かも。ははは!!』

「(ねぇ、まだ?)」

『まだ、っ……とまんない。ふ、んははは、やば、成長って…!は、は、クッ…あっははは、ヤバ、お腹痛い。は、はは!』

「(ひっひっふー。ほら、ひっひっふー)」

『ひっひっふはははは!』

「(こりゃ無理だ)」

笑い続けて、かれこれ五分になる。

会ったばかりの時は綺麗だったウロコは、ドラゴンが笑いながら枝の上を転がり続けたことで葉っぱや木の皮をいっぱいくっつけている。それでもやっぱり止まらない。

いっそドラゴンを放置することに決めてイチルの方を見れば、何やら先程の戦いで感激したらしい騎士達に囲まれており、すぐにこちらに来れそうにもないらしい。

そろそろ昼下がりの日差しに眠くなってきた頃、ようやく笑いが収まったらしいドラゴンが頭に葉っぱを乗せながら俺の隣に座った。

『ごめん、ごめん。止まんなくて』

「(いいよ、別に)」

魔法の世界で最上位に位置するSSランク。伝説クラスの聖獣に憧れていたが、頭に葉っぱを乗せた笑い上戸だなんて拍子抜けもいいところだ。もう憧れも何もない。砕け散ったんだ。

だが、敬う気すらなくなって拗ねていた俺を気にもせず、ドラゴンが出した提案に俺は飛びついた。

『お詫びにこの世界のことを教えてあげよう』

「(本当に!?やったぁ!)」


この時、いろいろありすぎてまだ頭がはっきりしていなかった俺は、とても大事なことを見落としていた。

小鳥の姿になったこと、魔力のない王子様、風属性のペガサスの最敬礼、ドラゴンの発言。そして、何も言わなかったのに彼は俺がこの世界を知らないと確信していたこと。

未来への鍵と、真実へのピース。

それが揃った今、誰かに仕組まれた歯車が、カタリ、と回り始める音がした。

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王には世界を守る義務がある。
そして、俺にとっての世界は君である。