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2.


「(嘘ぉおおおおおお!!??)」

重力が俺を地面に引っ張っていく。

だが、落ち始める直前、俺の背後にいたそれは爬虫類を連想させる縦長の瞳孔をした黄金色の目で瞬きしたかと思うと、鋭い牙が生えそろう口を大きく開けて俺を銜えた。

捕食ではなく、母猫が子猫を持ち上げるように力は込められていなかったが、体のすぐ近くにある鋭い牙に冷や汗が止まらない。

そして、俺を真上に投げた。

「(えぇええええええ!!??)」

普通の鳥ならここで飛んで逃げるだろうが、生憎、俺は飛べない。

そのままその生き物の頭に落ちて、首筋を伝って背中を滑り落ちた。目と同じ黄金色のつやつやしたウロコを滑り台代わりに滑りおり、長い尻尾の先でようやく止まる。

尻尾の先のウロコに何枚か大きいものがあり、飾りのようになっていたが、俺は頭に生える二本の角とコウモリによく似た大きな翼から目が離せなかった。

「(…ドラゴン?)」

『そうだよ。初めまして、おちびさん』

「(は、初めまして…)」

思わず伸びる背筋に、ドラゴンが笑った。

『そんなに緊張しなくていいさ。別に取って食いやしないよ。君は僕の同胞(はらから)なんだから、僕だって大事にする』

「(はらから?)」

『仲間ってこと。あぁ、でも、君は孵(かえ)ったばかりの雛だから、まだなぁんにも知らないのか。本当におちびさんなんだね』

その瞬間、頭の中で何かがブチリと切れた。

この世界に来て一週間、毎日イチルとチビチビと言われ続けて、指で摘まれ続けたストレスがついに爆発したのだ。

相手は猫程度の大きさだったが、小鳥からすれば充分な脅威になりえる。いや、そもそもこれが本当のサイズじゃないだろうSSランクの聖獣に向かって、俺は啖呵をきった。

「(まだ成長するんだよ!!)」

そして、その一言にドラゴンはついに耐えきれないと言うように、声を出して笑った。

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王には世界を守る義務がある。
そして、俺にとっての世界は君である。