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3.


本気で悩んで、考えた結果だった。

オーツェルドとホーリエが嫌いなわけじゃない。

ただ、元々彼らが同行を決意してくれた理由はホーリエが聖剣の封印を手伝ってくれるためで、オーツェルドはその恋人だからだった。もちろん、二人ともイチルに恩を感じていて、その恩を返そうと同行して共に戦っているんだろう。

だが、だからこそ、俺は俺達を大事にしてくれている仲間達を危険に晒したくないんだ。

正直に言う。世界を巻き込み、先代の風の王の命すら奪った聖剣の話に、どれだけ強くても人の身である彼らが太刀打ちできるとは思えない。

俺は風の王で、介入する力と義務がある。

イチルは当事者で逃げられない。

だが、彼らは逃げられる。聖剣が壊れ、闇が牙を剥く前にどこか遠くに逃げてほしい。この先は彼らが介入できる戦いじゃない。共に長く旅してきたからこそ生きて、幸せになってほしい。

もちろん、俺がそう言うからには世界を救い、平和だけを与えるつもりでいる。

「…そりゃまた、…なんでだ?」

一瞬だけ見開かれた隻眼。

だが、それはまたすぐに細まった。

そして、オーツェルドの言葉は単純なものだったが、俺から理由を聞き出すよりも早く、彼の声色は既に拒絶していた。嫌だ、どんな理由があろうと共に行く、と彼は強く主張して譲らなかった。

「理由は言えない」

言ってしまったら、残るだろうから。

彼らはきっとイチルを見捨てて逃げようとはせず、共に最後まで戦おうとするだろうから。

「なんで俺にだけ言った?なんでホーリエに言わない?…なんで、皆の前で言わないんだ?」

「ッ、」

それを聞かれるとは思わなかった。

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王には世界を守る義務がある。
そして、俺にとっての世界は君である。