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7.


じゃあ何を聞こうとしたの、と質問しようとしたところで低い声が会話に入ってきた。

「おや、珍しい。ペガサスがこんなに初対面の子とよく喋るのは初めて見ました。イチル様、これはペットですか」

ペット、と言った時に風が唸った。

先程まではこれっぽっちも敵意を持っていなかった穏やかな風が、明らかな攻撃の意志を持って吹き抜けたのだ。男が一歩下がる。だが、ペガサスも同時に一歩踏み出した。

『言葉には気を付けて、レイロ』

男の首筋に冷や汗が伝ったのが見えた。

『無礼は許さない。これは警告だ』

「…わ、分かったよ」

ペガサスの目に滲むはっきりとした怒気。だが、再び俺に向いた瞬間、静かに燃え盛る怒りは跡形もなく霧散していた。

「(そんなに怒らなくてもいいよ。ペットって言ってもイチルは怒らないと思うし)」

『ですから、それに怒ったのでは、…って今はまだいいか。…彼はレイロ・ヴォルホト、私の契約主で騎士団長です。属性は炎』

「(初めまして、レイロさん)」

そう言って彼を見上げる。地面とほぼ同じ高さの俺が、人間の歩幅で三歩くらいしか離れていない距離にいるレイロさんを見上げるのは、もう首の角度が痛くてたまらない。

それでも頑張るけど。

レイロさんは多分俺の言っていることが分かる。

俺はペガサスと会話出来ている。レイロさんはペガサスの言っていることが分かる。一定の魔力量があれば誰にだって分かるらしいし、騎士団長の魔力量が少ないとも思えない。

…俺が聖獣に分類されるかは不明だけど。

予想通りレイロさんは身をかがめて微笑んだ。男前だ。イチルとは全く違う系統の男前だ。死線を駆け抜けてきた戦士という感じの堂々とした男前が、にこやかに笑っていた。

「やぁ、初めまして」

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王には世界を守る義務がある。
そして、俺にとっての世界は君である。