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6.


「ねぇ、イチル」

イチルの隣に座って足を組んだ。

「あの子達、昔は言葉が通じてたのに急に通じなくなっちゃって…、お互い大事に思ってるんだけど。…なんとかしてあげたくて、」

怒るんだろうか。

こっちは魔王討伐という世界の命運をかけた旅をしているのに、命の危機にも面していないたった一人と一羽の問題に首を突っ込む。

面と向かって助けを求められたんだから助けてやりたいというのが個人としての感情だが、王としての判断を言うならこんな些細なことに足止めを食らわずに旅の先を急ぐべきだと思う。

冷静なイチルなら後者に同意するだろう。だが、返ってきたのは半ば苦笑いの混じった長い溜め息でしかなかった。

「お前は救いようがないほどのお人好しだ」

「あんただって変わらないよ」

言葉の裏に隠された承諾。

待ってやるから行ってこい、と形にせずに伝えられた言葉が心地良かった。

「俺達はどうして言葉が通じたんだろうね」

思えば不思議だった。

俺とイチルが話せるようになったのは召喚の儀式の後だったとしても、あの時はまだ契約をしていなかった。だって、契約が完了したのは武闘大会で名前を教えた時なんだから。

つまり、契約の絆が作用したわけじゃない。

魔力を持たず聖獣と会話したことがないイチルと、まだ無力だった頃の俺。

「きっかけは召喚の儀式だと思うけど…」

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王には世界を守る義務がある。
そして、俺にとっての世界は君である。