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3.


「ごめんなさい…ッ。あなたの聖獣を、」

ルイが申し訳さそうに俯いた後、慌てて檻を開けようとしてくれる。だが、それを制したのは意外にもイチルだった。

「別に。どうせそいつが勝手について行ったんだろ。風属性だし、よくふらふらする」

「いや、僕が無理矢理連れてきて…」

さすがイチルだ。よく分かってる。

何も知らないルイは俺を無理矢理連れてきたと思っているが、俺が風の王だと知っているイチルは俺を誘拐できる奴がいないと確信を持っている。

王としてはまだまだ未熟だが、Sランク程度なら容易く蹴散らせるんだから他の王でも出てこない限り俺を力で押さえることは難しい。

だから、ルイではなく俺に怒っていたんだ。誘拐されたのではなく、ただ単に俺が門限を守らなかっただけのような感覚だろう。

(…もうちょっと心配してくれてもいいのに)

ちょっと不満だが、それはイチルが俺の力を信用し始めているという証拠で、少し擽ったくて嬉しかった。思わず顔を逸らす。小鳥の表情なんて分からないはずなのにイチルが笑った気がした。

「言っておくが、そのちびはお前が思っているよりもずっと強い」

ルイが首を傾げる。

俺は檻の中にいる姿をこれ以上イチルに見せたくなくて、風の力で鳥籠の鍵を開けた。鍵で鍵穴の中の仕掛けを回せば開くんだから、代わりに風で回しても同じ話だ。カチ、と音が鳴る。

鳥籠から飛び出してルイの頭の上に着地すれば、俺を落とさないように緊張したのが伝わった。

「ほら、」

「どうして鍵が…?」

「とにかく、放浪癖があるそいつのせいだからお前は責任を感じなくてもいい」

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王には世界を守る義務がある。
そして、俺にとっての世界は君である。