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まさかのお隣さん


暫くしてルイが運んできた夕食は豪勢なものだった。ライ麦のパンと、サラダと、焼いた小魚と、小さく切られたハムと、果物。

量からして俺とピィたんとルイの三人分らしいが、ピィたんに小魚を渡してからすぐに俺に何が食べたいか聞いてくるあたりルイも優しい。

(んー、迷う…)

小魚はピィたんの分だし、育ち盛りの子供からハムを奪いたくないし…、

「他に食べたいのあったら取ってきてやらなくもないよ。一階に結構ある」

『肉!!』

間髪を容れずにそう答えれば、俺にパンをちぎろうとしていた手が震えたのが見えた。猫目がちのルイは真ん丸に目を見開いていて、元々目が丸いピィたんも溢れそうな状態で静止している。

いまいち聞き取れなかったらしく二人揃って俺をじっと見詰めるものだから、もう一度控えめに繰り返してみた。

『…お肉、食べたいな』

可愛らしさをアピールすべく首をちょこんと傾げてみたが、ぽかんと口を半開きにしたルイの手からパンが崩れ落ちただけだった。

こんがりと狐色に焼き上がった小魚を銜えたピィたんも口を開けてしまって、小魚が落ちそうになって我に返り、慌てて丸呑みにしていた。食べた後もじっと俺を見ていた。

「お前、肉食には見えないけど…?」

『…果物でいいや』

「いや、取ってくるよ」

その時、隣の家の窓が開いた。

鳥籠に入れられた俺は窓際に吊り下げられているわけで、狭い路地を挟んだ向こう側は別の家になっていて、向かい合った窓が開いて顔を出した人物とバッチリ目が合ってしまった。

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王には世界を守る義務がある。
そして、俺にとっての世界は君である。