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6.


『俺の名前はタクって言うんだよ。ほら、聞き取れないでしょ?俺には本当に契約主がいるからルイをとらないよ。約束するから安心して』

『ぅ、っえ、…誰が手前なんかにとられるか…っ。…本当に契約主がいるんだな?』

『いるよ。名前が聞き取れないしょ?』

あれから小さい体からありったけの水分を振り絞る勢いで泣くピィたんを必死に慰め、契約していれば真名が聞き取れないことを利用してなんとかピィたんを安心させた。

氷属性はさすがに水属性と似ているところがあり、水溜まりを作りそうな勢いで泣いていたのにピィたんに水を飲む気配はない。

脱水とは無縁の属性だ。

『本当に本当に契約主がいるんだな?』

『いるよ!』

何回も繰り返し聞かれた質問がまた繰り返される。かなり疲れながらも頷いて見せれば、ピィたんの目が輝きだした。

『いや、別に最初から心配してなかったし。手前みたなちまっこいのに俺が負けるわけがねぇ』

『……あっそう、』

ピィたんは器用に翼で目元を拭った。

ペンギンなのにまた器用に翼を腰にあて、偉そうに上半身を反ってみせた。キラキラとした輝く笑顔が眩しい。目を開けていられないほど眩しい。

『俺のことは兄貴と呼びな』

『ピィたん!』

『兄貴』

『ピィたん!』

『兄貴』

『ピィピィ!』

『…ピィたんでいいぜ』

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王には世界を守る義務がある。
そして、俺にとっての世界は君である。