『え、何?落とし物?』
本当に眠気で頭が回らなかったんだ。
最後は軽く飛んでピーナッツの山の近くに行った。人間の感覚からしたらそう高くもないが、小鳥の俺と同じくらいの高さがあった。
あまりもの不自然さにずっと昔に父さんが教えてくれた雀の捕まえ方が唐突に脳裏をよぎったが、雀が食べたら窒息死してしまいそうなピーナッツを見て、つい鼻で笑ってしまった。
『ピーナッツは大きすぎだよ』
豆とかにしないと。
頭のどこかで他人事だと思っていたが、今の俺も雀とそう変わらないことを思い出して、さっと頭が冷えた。ぱち、と瞬きをしてみる。
(まさか…)
飛び立とうとしたが、
パタッ。
何かが倒れた音がして視界が暗くなった。
『…えっ?』
慌ててパタパタと翼を動かして飛んでみたが、ピーナッツの山と竹で編まれた籠らしき物が邪魔で上手く飛べない。しかも、そのうち誰かが木の後ろから飛び出して上から籠を押さえた。
そして、嬉しさと緊張の混じった声で、
「つ、捕まえたぁああ!!」
『え、ぇえええぇぇえええ!?』
こうして俺は捕獲された。
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王には世界を守る義務がある。
そして、俺にとっての世界は君である。