HOPEACE | ナノ
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -

prev / next
[ mokuji / bookmark / main / top ]

16.


まさかそう言われるとは思わなかった。

返事に困ってしまって、むしろ、何か他の話題を探そうとまた星空を見上げたところで強い輝きを持つ星が夜空を滑り落ちたのが見えた。

「流れ星だ!」

それがいくつも続く。濃紺の夜空とのコントラストによって際立って見える淡く青白い星が、いくつも尾を引きながら滑っていく。

流れ星を見たのは初めてで思わずはしゃげば、呆れを滲ませながら子供を見るような目をされた。だが、そんなものではとまらないほど現代都会っ子の感動はすさまじい。

「流れ星も見たことねぇってどこの家の出身だよ。俺でも何回か見たことあるんだぞ」

「お願い事した!?」

「三回唱えるどころか気付いた瞬間に終わってやがる。んなもん無理だ」

「で、何をお願いしたいの?」

「で、俺の話を聞いてたか?」

夢中で流れ星を見ていると溜め息が聞こえた。

そして、立ち上がる気配がする。その気配は感じていたが流れ星に釘付けになっていたからイチルの方を見ていなくて、気が付けばバサッと毛布が体にかけられていた。

ただ体にかけられただけじゃない。体が触れるほど近い位置に座ったイチルと一枚の毛布を共有する。驚いたのは俺だけで、イチルはというと俺の肩に腕を回してグッと引き寄せた。

体はさらに密着した。しっかりと毛布を巻き付けたから、隙間の空気が冷たかったらしい。

「俺に毛布持ってきたのにお前はなんもねぇの?」

「大丈夫かと思って…」

「それでここまで冷えてんの誰だよ」

「…それは、」

[ 149/656 ]
prev / next
[ mokuji / bookmark / main / top ]

王には世界を守る義務がある。
そして、俺にとっての世界は君である。