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15.


「タクって名前で、…あ、モチヅキには聞こえねぇか。ちびな小鳥でな、可愛いんだ」

聞こえているよ。

それは俺の名前だもん。

「初めは飛べなかったくせに飛べるようになって、攻撃魔法まで使えるようになって、」

「…置いてかいれたとは思わないの?」

「いや。あいつが成長していくのを見るのは嬉しかったし、…ちびがピィピィ頑張ってるのを見たら結構励まされた」

ピィピィやってて悪かったね。

だが、俺ばかり成長してイチルはいまだに魔力がない現状に、彼は諦めてもいないし、悲観してもいないと知って肩から力を抜いた。

確かにドラゴンの言う通り、今まで魔力がなかったのならこれからも目覚めないのかもしれない。だが、この王子様なら、たとえここが魔法が常識の世界だとしても、魔力が全くなくとも、自ら道を切り開けると信じていた。

「そいつには随分助けられた」

「助けられたって?」

「城に置いてこようとしたんだが、ついて来ちまってな…。弱っちいくせに守ってやるなんて言いやがって。どう考えても無理なのにな」

無理じゃないし!

喉まで出かかった言葉を飲み込んだ。

代わりに軽く、バレないように気持ち程度にイチルを睨んだが、本当に気持ち程度だから気付く様子もないままイチルが微笑んだ。その微笑みに肩透かしを食らって溜め息を吐いた。

イチルは本当に俺によくしてくれた。だが、その理由が俺が唯一言葉が通じる聖獣だったからというのは間違いだ。だって、言葉が通じる前から大切にしてくれていたんだから。

先に助けられたのは俺だ。

だから、少しでもイチルの支えになっていたら嬉しいし、これからも支えてやりたい。

「…あ、そうそう。それでな、」

クスッ、とイチルが笑う。

続いた言葉に、俺は硬直してしまった。

「守ってやる、って言った時の雰囲気がお前とそっくりなんだ。たぶん、目とか髪とかの色が一緒だからだと思うんだが、」

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王には世界を守る義務がある。
そして、俺にとっての世界は君である。