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6.


「いくつか質問させてほしい」

そう言ったのはオーツェルドだった。

「名前は?どこから来た?」

「モチヅキと呼んで。東の国から来た。具体的にどの国からかは答えられない」

「嘘でしょ。東からわざわざ?」

「金貨一袋の商売だもん。その価値はあるよ」

ホーリエは疑わしげな眼差しをしていたが、俺の返事に不自然さは見付けられなかったらしく、渋々といった感じで納得した。

「情報の出処は回答拒否ってことだが、…お前は風の聖獣とでも契約してんのか?」

この質問は予想していなかった。

だが、少し考えれば、この質問はやはり情報の出処を探っているものだと知った。風の聖獣は風の精霊と同じで、多くの場所に吹いていくから多くの情報を持っているんだろう。その聖獣と契約しているかどうかは、ヒントになるんだ。

ちらり、とマーメイドに視線をやれば、彼女は小さく頷いていた。契約している、か。

「そうだね。契約しているよ」

「見せてくれ」

「だーめ、俺の契約聖獣も秘密」

イチルがすっと目を細めた。

彼は何も言わないが、俺をじっと見据える眼差しに全て見透かされそうで、知らない間に緊張で口の中が乾ききっていた。バク、バク、と早鐘を打つ鼓動を聞きながら、なんとか余裕を装っていた。

だが、ホーリエがまさかのフォローを入れた。

「本当に情報屋らしいね。僕の知っている情報屋も皆情報を売るばかりで、自分の事を話したがらない性分だ。…そこは信じてあげる」

心の中で、ホッと息を吐いた。

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王には世界を守る義務がある。
そして、俺にとっての世界は君である。