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5.


落ち着け。緊張を見破られるな。

俺は情報に自信を持っていて、絶対的優位に立っていると信じて疑わない態度で行くんだ。

幼い頃から家のパーティーに出席して大人相手に芝居をしていたが、この時ばかりはホーリエの澄んだ目に冷や汗が背中に伝いそうだった。

「取り引きをしよう。聖剣の在処とそこへ通じる道、…金貨一袋で売るよ」

「悪いね。詐欺なら他を当たりな」

「決めつけてちゃっていいの?闇雲に西に向かうよりは、金貨一袋で安全性と時間を買った方が賢いと思うんだけどなぁ」

「…僕達の情報をどこで手に入れた?」

当たり前の疑問だ。

自分で情報屋を探し出して特定の情報を買うのではなく、どこからともなく情報屋が勝手に出てきて今まさに必要としている情報を正確に言い当てては、取り引きを提案してくる。

この世界に詳しくない俺だって分かる。この取り引きは危険だ。だが、確信もあった。誰も情報を持たず、さらには他の情報屋にも正確な情報を期待できない今、彼らは必ず危険な橋を渡ろうとする。

「俺は情報屋なんだよ?それくらい簡単に分かる」

ハッ、と小さく鼻で笑い飛ばしてやった。

「聖剣の情報が確かだという証拠は?」

ほら、食いついてきた。

「それは教えられない。でも、保証はする」

「…保証、ねぇ?」

「取り引きに応じるも応じないも君達の勝手。でも、俺はこの情報が間違いなく本物だと誓う。…さぁ、どうする?」

交渉をする時、押し付けることは禁物だ。

あくまでも決定権は相手にあると強調したうえで、焦らずに勧めるような言葉を使う。案の定、ホーリエの瞳が揺れて迷いが生まれた。そして、意見を求めるようにオーツェルドとイチルを見た。

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王には世界を守る義務がある。
そして、俺にとっての世界は君である。