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5.


しばらくいろいろと頑張ってみた。

手をパタパタさせてみたり、ぴょんぴょん跳ねてみたり、もう一回枝に座ってみたり、奇声を発してみたり、と人に見られたら立ち直れなくなるようなことだって頑張ってみたのに。なのに、

「…戻らない」

小鳥になる気配は一向にない。

「やばい、どうしよう」

因みに、明日の朝には出発する予定だ。

この武闘大会は時間ロスのように見えたが、結論としてはホーリエ、マーメイド、オーツェルド、心強い仲間が三人も増えた。

だが、王都に近いこの町ですらも魔獣の噂が聞こえる。宿の中で食事を摂っている時も、外でふとすれ違った人達の話題も。時間は俺達が思っているよりも、残されていないらしい。

聖剣さえ見付けてしまえば、ホーリエが封印を強化できる。だが、聖剣の正確な位置はどこにも記録されていない。とりあえずは西に向かう予定だ。

だが、このノグ・ローレンを出て西に向かえば、次の街までは相当の距離がある。野宿は避けられないが、それでも安全性を考慮して明日の朝早くに出発するって決めていた。

「どうするの、俺」

小鳥には戻れない。

なら、人のままで戻るしかない。だが、自分が小鳥だと言ってしまう選択肢は存在しない。小鳥は行方不明で、新たな同行者として加わるしかない。

それも無茶がありすぎると思うが、一人でこの地に留まる、あるいは説明もできないままで小鳥だと明らかにしてしまうよりは余程マシだ。

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王には世界を守る義務がある。
そして、俺にとっての世界は君である。