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3.


一通りはしゃいでから、枝の上に座った。

この枝は太くて頑丈そうだし、飛ばなくてもいいとても低い位置にあった。そして、ふと襲ってきた静寂に、自然と考え込んでしまう。

俺だっていろいろと考えた。

(風の王、か…)

まず、俺は間違いなく聖獣だ。風属性。聖獣で完全に人の形になれるのは属性の王だけだから、この時点で俺が風の王だということになる。

力については、まだ分からない。毎日ちょっとずつ風のコントロールが上手くなって、威力も強くなっているのは感じるが、じゃあドラゴンと同格なのかと聞かれれば違うと思う。

ドラゴンの方が圧倒的に強いんだ。

そして、聖獣としての本来の姿。もちろん、人間の姿も本来の姿だが、聖獣としてであればあの大型の鳥だと思う。具体的にどういう姿かは見てないが、かなり大型だった。

(フェニックス?)

いや、それは炎の王だ。

「俺は、本当に風の王?」

分からないから、風の精霊達に聞いてみた。そうすれば、ふわふわと周りを漂いながら頷いてくれた。

「どうして俺をこの世界に連れてきたの?」

俺は連れてきたのは風の精霊だ。

彼らに背中を押されて、世界を飛び越えて、イチルに出会った。この世界に来たことにも、イチルに出会ったことにも理由があると思う。だが、それを聞いても精霊達は答えてくれなかった。

「…難しい会話は無理か」

なら、俺が風の王だとして、俺が来る前のこの世界に風の王はいなかったんだろうか。

マーメイドは、六人の王が、と言っていたからかつては存在していたんだろう。なら、それは消えてしまったんだろうか。どうして。

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王には世界を守る義務がある。
そして、俺にとっての世界は君である。