吊られた男の物語

まるで砂糖に群がる蟻の様





「初めまして、姫路光です。分からないことだらけで迷惑かけることもありますが、一生懸命やるのでよろしくお願いします!!」









ぱちぱちぱち、と散漫な拍手が教室内に響く。




あたしはクラス全体を見渡すと、茶色と銀色と黒色が固まっているのが見えた。


超ラッキー!!
主人公、沢田綱吉と忠犬と山本武じゃん!








「姫路の席は窓側の一番後ろな、日当たりいいからって授業中寝るなよー」
「あはっ、そんなことしませんよぉ」






軽い足取りで言われた席に着くと、前の席に座っていた男子に話しかけられた。

山本だ!
話しかけたい!!
でも初対面のあたしが名前とか知ってたらおかしいよね?





「俺山本武、よろしくな!!」
「あ、うん、私のことは光って呼んでね!よろしくぅ、武君」





ああやっぱりこの爽やかスマイルには次元を超えた癒しがあるわ

うん、決めた!
本命はツナだけど武も特別にあたしの騎士にしてあげる!!


で、隣りの席の銀髪不良君は・・・と










「・・・獄寺隼人だ」






あたしが眼を合わせると、照れたように頬を赤くして顔を背ける。


ふふっ良い反応してくれるじゃない?
笹川京子には悪いけど、並盛のマドンナの座とこの子たちは私が貰っちゃうね?


中学生レベルの嫌がらせなんて適当に流せばいいのよ、他の男子なんてどうでもいいし女子だって邪険に扱わなければお姫様扱いしてくれるでしょ?








「姫路さんの髪って地毛?チョーさらさらでやばいんだけど」
「うん、地毛だよぉ。そんなに手入れしてないから傷んでるけど」
「そんなことないって!」
「お姫様みたいに綺麗だよね、顔も整ってるし」
「ハーフか何かなの?」
「違うよぉ、ちゃんと日本人だもん」
「笑った顔可愛い!姫ちゃんって呼んでもいい?」











ざわざわと転入してきた姫路光に群がる生徒達に、呆れたような冷めた視線を送る者がいた。











(“姫ちゃん”ねぇ・・・あの人が聞いたら確実にブチ切れるな)












確かに、転入生はどこぞの姫といってもおかしくないくらい美しい容姿だった。






金糸の髪は歩くたびにふわふわとなびき、宝石のように輝く赤い目は視線が重なった者の動きを奪うほどに魅力がある。


すらっと伸びた白い手足に、健康そうな肌、整った顔立ち。





どちらかというと可愛い。





男ならば守りたくなるような、女ならば抱きしめたいような雰囲気を放つ。





だが、全ての者が彼女に惹かれるというわけでもない。








そう―――――沢田綱吉が、そうだった。


























ああ気持ちが悪い。見ているだけで吐きそうだ











「くくくっ、綱吉君も災難だね。あんな偽物に目をつけられるなんて」






Modoru Main Susumu
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