吊られた男の物語

策士の介入





「おはよう皆」





久しぶりに学校に来たような気がする。

といっても実際中学校に来るような年じゃあないんだけど(笑)

教室に入ればにこやかにあいさつしてくるクラスメートたち。

人識君は相変わらず独りぼっちで、綱吉君は獄寺隼人と山本武と姫路光とつるんでいた。







ん、あれ、あれ、おかしいな

















「ねぇ、机一つ減ってない?」



















「あぁ、一人消えたからな」

「へぇ、誰の机だったの?」

「うふふふふっ、巡君は知らないよねぇ、笹川京子ちゃんっていう女の子だよ」

「光のこと虐めてたんだ、消えて当然だよな!」








山本武と姫路光が答えて、品のない声でげらげらと笑っている。









「へぇ、なんで?」








もちろん俺は、そんな“虐め”がデマカセだということを知っているため何とも思わない。



むしろその逆だし。



当の本人鼻で笑ってたし。








「さぁ?光ちゃんが可愛いから気に食わなかったんじゃねぇの?」

「えぇっ、武やめてよォ・・・照れちゃうよぉ」

「光さんはもっと自信を持った方がイイっすよ!ねぇ十代目!!」

「ははっ、そうだね・・・」







綱吉君、顔が引きつってるよ








「そうなのか?大変だったな」








最っ高に面白いなぁ、この餓鬼ども

この餓鬼の中では笹川京子と零崎人識はいじめっ子なんだろうけど、本当はそのま逆だってことにどうして気付かないんだろうな?


触りたくもないが、慰めるふりをして姫路光の頭を優しく撫でてやる。









「巡君っていい人だねぇ、好きになっちゃいそう」

「巡!!テメェ光さんに手ェ出すんじゃねぇよ!!指一本でも触ったら果たすからな!!!」

「ばぁか、オヒメサマに手ェ出す訳ないだろ?」









ははは、と笑ってやれば簡単に騙されてくれる。

勝手に味方だと勘違いしてくれる。




とんだ大間抜け共だ。










「騎士はお前らにこそ相応しい」







まだまだ、もっともっと時間をかけてからじゃなきゃあつまらない。

きゃらきゃらと喜びに満ちた笑顔で笑い合う彼らが、堕ちる瞬間をこの目で見てみたい。

ゴール目前で、地獄に落とされる絶望に染まった顔を見たい。


確かに悪趣味だろうよ、潤が俺のことを怖がっているのも知ってるしな。




“力がある”




それだけのことでも、畏怖される。



まったく、面倒くさいな。



























「――――並盛中にあの子を?えぇ、構いませんが、本当に?はい・・・はい、はい、了解いたしました」








携帯を片手に、町を徘徊する少女がいた。

綺麗に梳かれた長い髪をいじりながら、電話の向こう側の人物を頭に描いて不敵に笑う。









「たとえ相手が人類最愛であろうとも、私の名前は萩原子荻。
私の前では悪魔だって全席指定、正々堂々手段を選ばず真っ向から不意討ってご覧に入れましょう」














「また転入生?多いね」

「男?女?」

「女の子だってぇ、可愛いといいなぁ」








そうそう、笹川京子は京都にいるみたい。







































最高の舞台を用意してあげようか

Modoru Main Susumu
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