log | ナノ
【log】

止まった歯車は2度と動かない

舌打ち
「チィ、あの糞餓鬼が…言わんこっちゃない」


そう言って空を見上げれば、丁度白い塊が落ちてくる所だった。普通なら速いはずのその場面がサソリには何故かゆっくりに見える。


サソリはもう一度舌打ちをするとヒルコを操り尾で敵を一突きで殺し、ズルズルと移動しながら落下した白い塊がある場所を目指した。


そんなに大した敵でも無かった筈なのに、どうしてあの餓鬼は毎回怪我をする。そう考えてまた無意識に溜め息を漏らす


これだから生身の人間は面倒だ。
デイダラはがどうなろうと自分には知ったことではないが
暁ではツーマンセルが基本だ。

もしもここでデイダラが死ねば、次の新しい相方が来るまで人柱力の情報集めしか任務が回って来なくなる。

永久を定義としたサソリだが、自分の造り上げた造形を披露させる事も芸術のひとつだと考えていた。人形は飾れば美しさが保たれるかも知れない。しかし自分の傀儡は自分が操り人を殺める事でその美しさと強靭さが際立ち、その動きが自分の持つ芸術観が間違ってないと確信出来る瞬間でもあった。


サソリにとって、自分の作品が披露出来ない事ほど苦痛なことはない。任務から帰り、食事も睡眠も欲しない間に出来た空白の時間に傷付いた傀儡を直す作業をただ黙々とする時間も何気無く好きだった。


ヒルコの中でしかめっ面をしながら首を回しデイダラを探す。
デイダラとツーマンセルを組んで、早九年。齢九つだった糞餓鬼は今や十八。身長はやっと自分を越し始め、声も若干低くなった。

大人びてきた、と言えばそうかも知れないが自分から見ればまだまだケツの青い餓鬼。
熱くなれば周りが見えなくなり、あまつさえ自分の芸術作品を爆破で壊すことも多々あった。


今日はたまたま本人は粘土で造った鳥もどきで空を飛んでいたが、そこで油断したのだろう。チャクラ糸の様な物が粘土に付着しそこから雷遁を流され地に落ちたのだ。全くもって滑稽だ。



程なくして白い塊に背を預け下を向いているデイダラを見つけた。生きているかどうか確かめようとした刹那、首が持ち上げられる。


『あぁ…旦那、か。』

『随分と苦しそうだな』


浅く呼吸を繰り返し眉を寄せるデイダラを見てほくそ笑んだ。


『敵、は?』

『全員殺った。』


俺が短く答えるとデイダラふ、と笑った。


『そ、か…やっぱ旦那はすげぇな…うん』



勝ち誇った様な態度をいつも見せていたデイダラが他人、ましてや自分を誉めるなど思いもしなかった為目を見張った。その一言を言うとデイダラは口角を上げたままゆっくり瞼を下ろし始めた。


『おい』


自分が呼び掛けてもデイダラは返事もせず、目を閉じた。訪れる静寂と異様な感覚。マイナスな感情を捨てたサソリが感じたモノは懐かしき禍々しきモノだった。



居ナクナラナイデ


何処からか幼い子供の悲痛な叫びが聞こえた気がした。
ヒルコから出たサソリは眉間に皺を寄せ、目を閉じ動かないデイダラを睨み付けふざけるな、と吐き捨てた。しゃがんでデイダラの心臓辺りに耳を押し当てると、トクントクン、と僅かだがその命は確かに在る。


それを確認したサソリはデイダラを抱き上げヒルコの中へ押し込み自分も乗り込んだ。そして何回目かも分からない溜め息と舌打ちをするとズルズルとヒルコを動かした。



相も変わらず口角を上げたまま微かに寝息を立てる相方を一瞥しサソリは眉間に皺を寄せたままボソと呟いた。




『これだからは生身は――――…』





居ナクナラナイデ





22 Mar.,2013
屋上

※学パロ、エロ、文がとにかく酷い








――――…いつもいつも思うわけなんだけど、旦那は鬼畜だと思う。うん。




『…………ふ、くぁ……』


綺麗な綺麗な青空の下で響く卑猥な声。
この声は勿論オイラじゃあない。



『…で、今日はソイツで何回イった?』


紅い髪が微かな風でフワリと揺れる。
陽の光に照らされ輝く紅い色は
いつ見ても芸術的だな、と思っているのは旦那には内緒だ。


(…そんなことよりも)


意識を紅い髪から背け、旦那の目の前で鳴く後輩を見つめる
毎回毎回こうしてオイラや旦那の溜まり場である屋上に呼び出され旦那に犯される後輩を


『何回、イった?』


酷く楽しそうな旦那の声。
今の旦那はオイラに背を向けてる状態だけど、旦那が今どんな表情なのから声から安易に想像出来る。


旦那の目の前で頬を赤らめ涙目で喘ぐ後輩。
旦那によく似た紅髪が目につき、その次に額の右寄りに刻まれた『愛』という文字が目に入る。


オイラはポケットから携帯を取りだしカチカチとボタンを押してゲームを始める。生憎人が犯される所を凝視する趣味は無い。


『さん…か、い』


途切れ途切れに聞こえてくる声は恍惚としたもので
思わず顔を上げた。
見ればなんともそそる表情で旦那を見上げている後輩は、確か我愛羅と言われる何だか不思議な雰囲気を持った奴だった。


旦那はポケットから何やら物体を取り出した。
我愛羅はM字開脚にズボンもパンツも脱がされて下半身むき出しの状態だった。


『足んねぇな、後2回だ』


そう言って旦那がボタンを押すと、我愛羅が喘ぎだし、下半身からウィィィと何やら機械音が響いた



『は、あ………うぁぁっ』


屋上に響く卑猥な声は
きっと明日も明後日も続く、旦那が飽きるまで


目を見開き身をよじり快楽に溺れる我愛羅を見ながらオイラは密かに同情し
本当にほんの少しだけ我愛羅を羨ましく思った。





17 Mar.,2013
遊び


『旦那ぁ、遊んで、うん』


ノックされたドアを開ければ
3週間前に入ったばかりの幼い相方が俺を見上げていた。


(遊べ、と言われてもな――――…)


餓鬼の子守りなんぞしたことの無い俺は
正直こんなに小さい相方、もとい餓鬼をどう扱って良いものか思案していた。


そんな俺の気も知らずに目の前の餓鬼は
上に括った髷を揺らしながらわくわくした目で俺を見上げてくる。

あぁ、めんどくせぇ


『…入れ、ベッドの上で作品造りでもやってろ。俺は生憎傀儡のメンテ中なんでな』


俺はため息をつくとドアを大きく開けて入るように促した。
「やった!!」と嬉しそうに中へ入ったデイダラは俺の言った通りにベッドの上にあぐらをかき腰から下がるポーチに手を突っ込んで中から粘土を取りだしこねだした。

その様子を見た俺は床に放り出したままだったメンテ中の傀儡を掴みその場に座ってまたメンテを再開させた




17 Mar.,2013
此方を




僕の好きな、金色の長い髪が揺れる


『旦那ぁぁ…』


背中を向けたその人の表情は見えないが、見なくてもどんな顔をしているのか分かる。

僕はゆっくりと近付き
床にベタ座りするその人の背中を抱き締める

僅かにビク、と身体が動くが
逃げようとはしなかった



『忘れようとしなくていいから、僕を見てくださいよ。先輩』



そう言って綺麗な髪を指に絡める
先輩は静かに浅く呼吸を繰り返し何も言わなかった


でも僕は先輩の答えを知っている
何も言わなくても、解ってしまう




(……またフラれちゃったか)



仮面の下で苦笑を広げ
抱き締める力を少し強める



どんなに側に居たって
どんなに足掻いたって


先輩のその瞳に映るのは一人なんでしょう?








『旦那……』




溢れた言葉は溶けていき
僕は無性に泣きたくなった

16 Feb.,2013
過保護



『なぁー、きさめの旦那』


『何です?』


振り向けば
金色の柔らかな髪を揺らした青い瞳が楽しげに輝いていた


『このかたな、強いのか?うん?』


そういってデイダラが指差したのは鬼鮫がずっと背負い、時には戦力として使う闘剣…大刀鮫肌、だった


『えぇ、強いですよ』


若干微笑みを浮かべて愛しそうに鮫肌を撫でる
不思議と自分の意思を持っている愛刀は嬉しそうに小さく震えた



『すげぇなぁ、オイラの粘土とどっちが強いんだろうな、うん』


そう言って異形の手を見つめるデイダラ
まだ幼い犯罪者は、何かと比べたがりの様だ

『さぁ…どうでしょうね』


そう言ってデイダラから目を離し、空を仰いだ
気持ちの良い晴れに、鬼鮫の口角は自然と上がる。刹那。


『ギギギィ』


『――――…いてっっ!!』


視線を下に下ろせば、デイダラが異形の手で腕を押さえていた
よく見ればその手の下の肌は大きな引っ掻き傷が見える
きっと、鮫肌に触ろうとして返り討ちにあったのだろう


幼い犯罪者は痛みにまだまだ慣れていないのか腕を抑え、青い瞳をウルウルとさせていた

『あらら…やっちゃいましたね…』


苦笑いを浮かべながら、鬼鮫は立ち上がり薬箱を取りに言った









『デイ、その包帯どうした?』


『鬼鮫の旦那の剣触ったら怪我したんだ!!うん!!』









『ちゃんと手の届かない所に置け』


そう言うと燃えるような紅い髪はフワリと揺れた
その色と対称の青い身体は苦笑いを浮かべて思う






【そんな過保護な】




15 Feb.,2013
ナミダイロ


抱き締める

抱き締める




『嘘だ…嘘だ…』


自分の腕の中で震える幼子
金色の肩まである髪がサラサラと触れる


『兄ちゃん、嘘だよな?うん、嘘だ、よな』


震えながら、期待しながら、オイラを見つめる子供
青い瞳は憂いを帯び、今にも泣き出しそうだった


オイラはいたたまれなくなって、抱き締める
息をすって、小さな金色の髪を撫でる


『オイラだって信じらんねぇけど、嘘なんかついても意味無いだろ、うん』



そういうと幼子は大きく震えだす



『う…そだぁ…旦那…旦那ぁぁ…』


しゃくりあげて泣き出す幼子の
金色の髪を優しく撫でながら呟く








『永久、って言ったのにな』







その呟きが聞こえたのか聞こえていないのか、泣く声は更に大きく高く震え
もうこの世には居ない相方の死を弔った










『旦那ぁぁ』





泣けない自分の代わりに
幼き自分はただただ、泣いていた

15 Feb.,2013
満面の



『だーんなっ』


いきなり飛び付いてきたかと思えば目の前が真っ暗になり、唇に柔らかい感触が広がった


「……何のつもりだ、デイダラ」


触れられた唇を袖で拭う
眼下には青い瞳を輝かせたまだ幼い相方が俺を見上げていた


ふふふと笑うと小さな髷が揺れる


『オイラはっ旦那が好きだぞ!!うん!!』


満面の笑みを湛えて言う餓鬼


「……」


俺はただただ失言だった

14 Feb.,2013
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