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【log】

止まった歯車は2度と動かない

ワタシ

『風邪を引くぞ』


振り返れば赤い髪が風に揺れていた。
雲ひとつない、真っ暗な夜空に浮かぶ満ちた月の光がワタシと我愛羅を優しく照らしだす。
ワタシはふ、と微笑むとありがとうと言った。

彼はワタシの隣まで歩いてきて何も言わずに空を見上げて目を細めた。ワタシも視線を満ちた月に戻し淡い光を瞳に写す。
限りない静寂がワタシ達を包み哀愁を含んだ優しい雰囲気が満ちた。


月の下にはどこまでも広がる砂。
ここの民達はその景色を見て育ち、好奇心旺盛な幼子達は砂ばかりで詰まらないと口を尖らせていたのを思い出す。


『…身体』


ワタシが小さく言うと、彼は此方を向いた。隈に縁取られたエメラルドグリーンの瞳がワタシを見る。



『身体、貴方こそ、風邪を引きますよ』


そう言うと彼は軽く目を伏せ、心配ない。とだけ言った。この風貌でたったの16なんて、未だに信じられない、と心中で呟く。昔から続いてきた砂隠れの人柱力に対する扱いを受ければ、当然と言えば当然のオーラではあるのだが、少しくらい子供らしさもあっては良いのでは…と思った。


実際の歳よりも遥かに大人の横顔を一瞥し、ワタシは空を見上げた。
満ちた月の光が、声を連れてくる。それはいつも突然に。





――――…×××



遥か昔に捨てた若き頃の名前。あれから何年、何十年たったのか分からない。


でも、覚えてる。ワタシの名前を呼ぶ声は。
どれだけ時が流れようと、昨日の出来事の様に色褪せる事のないその声を探しに、ワタシは月を探す。



『……リ』


溢れだした言葉は、儚く消えていった。




『――――…』



ワタシ続いて彼が発した言葉に、思わず勢いをつけて振り替える。もしもワタシが私なら、きっと瞳を見開いていただろう。



『…調べたんだ。』


彼はワタシと同じくらいに感情が読めない瞳で言う。
ワタシは何も言わなかった。いや、言えなかった。
捨てたハズの私を、拾われるとは思ってはいなかったから。



『傀儡部隊、副隊長だったんだな』


彼の言葉に、今度はワタシが目を伏せる。史実上には残っていたワタシの名前、それなら必然的に残っているだろう。



『そうですよ。もう引退した身ではありますが』


伏せた瞼に写るは様々な記憶。そして――――…



『赤砂のサソリを…追って、か』



彼の言葉にワタシは反応しなかった。
また、静寂が訪れる。


ワタシはもう月を見上げなかった。今声を聞けば、ずっと収めてきたものが全て溢れだす気がしたから。
昔の記憶はいつでも赤い。それがカレの付けられた名前の由来から来るモノだったから。あの頃の私は無知だった。何も知らず、闘う為、勝つ為に指先を素早く操った。


全てに意味があると思っていた。だから信じた。言葉を、ただただ信じたのだ、無知なあの頃の私は。



『滑稽でしょう?』


ワタシが微笑んで彼を見ると、いや…と言葉を否定した。


『強い、と思った。』


優しい。彼は更に続けてそう言った。
彼の言葉に、ワタシの心は泣き始め、懐かしい感覚が甦った気がした。


『貴方こそ、優しいわ』

ワタシは微笑んだまま、言葉を紡ぐ。


『何も無いワタシに、まだ風邪を引くぞ、なんて言ってくれるから』


そう言って彼の頬に手を添える。
ワタシの伸びた腕からはカシャ…と無機質な音が響いた。


『…』


彼は何も言わず添えた手を握ってくれた。
失ったハズの暖かみが触れた気がした。



『…ありがとう』


ワタシが言うと彼はワタシの手を引いて自分の唇をワタシに当てた。長い時間だった。静かに唇が離れると、彼はワタシをじっと見据えていた。



『アンタの名前は、俺が知っている。』


だから、と彼はワタシを抱き締める。無機質な音がまた響いた。

『だから、もう』

『ありがとう』


彼の言葉を遮り、ワタシは言う。彼はそれ以上何も言わず、抱き締める力を少し強めた。もしも今、ワタシが私なら、きっとその愛しい圧迫感を楽しむ事が出来たのに。


私がワタシになった事に、後悔はひとつもない。ただ、カレを感じられれば、それで良いと思っていた。
叶わない願いをいつまでも抱いて。



――――…お前が俺みたいになれたら、逢いに来てやるよ


――――…もしもなれたら…名前を呼んで下さいね?



繰り返される記憶に、嘘は無いと信じていた。貴方が自分の時を止めたその瞬間から私も時を止めたの。
貴方を置いて、進みたく無いから。
貴方以外、私の名前を知らないように、呼ばないように名前を捨てた。部隊からは潔く抜けた。そうして自分の命までも捨てた。全ては、遠い昔に約束した貴方の為に


満ちた月の光がワタシと彼を照らす。ただ静かにただ哀しく。
愛、と刻み込まれたその額にワタシは背伸びして口付けを落とした。








ワタシ

私が忘れてしまった名前を拾って下さい

ワタシは変わらず此処に居るから

貴方と同じ、時を止めたこの身体で








8 Apr.,2013
我が儘

淋しくないように
淋しくないように


モノを与えてきた。


大蛇丸が暁を抜けてから暫くして入ってきた自分の相方は、齢僅か九つだった。
小さく生意気でどことなく儚さを持った餓鬼と幼き自分を重ねた。二度と戻らないモノを待ち続けて待ち続けて待ち続けて…絶望する。どんな過去があったかは知らないし知りたいとも思わない。だが、せめて追われた者が集う堕落したこの場所の中ぐらいは淋しくないようにしてやりたい、と何故かその時思ったのだ。



『ねぇ旦那、大好き、うん』


蒼い瞳を細め慈しむ様に笑う相方は、10年という歳月で俺の身長を越した。15で時を止めた自分の身体に比べれば当たり前の話である。


『旦那、旦那、大好きだ、うん』


『……』


嬉々として自分に話しかけるデイダラ。何も言わず、じっと蒼い瞳を見詰めると照れたように目を細め笑った。
いくら身長を越されようといくら声が低くなろうとも自分の中ではいまだに幼き頃の生意気な餓鬼のままだ。



『大好きだ、うん。だから、欲しいな』



そう言った奴の瞳は、物を欲しがる餓鬼そのものだった。いつだって与えてきた。デイダラがあれが欲しい、これが欲しいと言えばなんだって与えた。時には他人の物を欲しがりそれすらも奪い取り渡した。奴は喜んだ。里にいた頃は何も与えられなかった奴にとってかけがえのない喜びだったハズだ。

気に入った物はすぐに欲しがり奪い取った。自分の力がつけば自分で盗った。この10年間、デイダラの物欲は常に満たされていた状態だった。そしてまさしくその時の瞳が、今自分の目の前にあるのだ。


『旦那が欲しいんだよ。だから頂戴?うん』


一点の曇りもない蒼い瞳が自分に言う。



『他にも欲しい物、あるだろ。』


俺がそう言うと奴は目を伏せた。


『それが…無いんだよな、うん。粘土は鬼鮫の旦那がいつも買い物帰りに買ってきてくれるし、ちょっとした野暮物だったら角都が金をくれる、うん。』


自分がデイダラに思った感情は、どうやら俺が思っただけじゃなかったらしい。この組織は優しい。端から見れば只の犯罪者集団だが、それゆえに皆、痛みを知っている。


『でさ、オイラ考えてたら、旦那が欲しいなぁ…って思ったんだ、うん』


いつも物を欲しがる様な口調で言葉を紡ぐデイダラに珍しく悪寒がした。


『ほら、旦那はいつも他人の物をオイラが欲しがったらそいつを殺してオイラに物をくれたじゃないか』


だからオイラも旦那を見習おうと思うんだ、うん。と続けたデイダラをただ黙って見ることしか出来ない。たしかに、言っている事は間違ってないし、実際にそうしてきた。


『確かに物はすぐにでも与えてやるよ。だがな、そのお願いだけはちと聞けねぇな』


物は与えてやる。だが、命という物は流石にそう易々とはあげられるものではない。角都の様に心の臟がいくつもストックがあるなら話は別だが。

そう言うと、奴は眉間に皺を寄せ盛大に俺を睨んだ。



『旦那、オイラ、旦那が欲しい、うん』

『言葉、理解出来てるか?無理なもんは無理なんだよ』


あぁ、始まった。奴の我が儘が
奴が盛大に睨むのと同じくらいに溜め息をついてやる


『嫌だ、旦那が欲しい。』

『駄々をこねたって一緒なんだよ、デイダラ』


















『じゃあ、ころしてやる』


奴が小さく放った一言を鼻で笑ってやった





7 Apr.,2013
朱色


『はれ。らんな?』


自分の部屋の扉を開けると中から聞こえてきた低めの声。
その声の主を知っているサソリは、紅い髪を揺らしながら自分の部屋に一歩、また一歩と足を進め、床にベタと座る長い金髪を見下ろした。


『まだ居たのか、デイ』


そうして金色の髪をゆったり撫でる
普段は束でくくっているはずの髪も、今日は下ろしていた。


『らって、だんな、いないとさびしい、うん』


そう言ってデイダラは気持ち良さそうに目を細めサソリを見上げた
デイダラの目を見たサソリは、少し眉をひそめる。
いつもの勝ち気で自信満々な光を宿している青々とした目が今は眠たそうにトロンとしている。


『…?デイ、何かあった――――…』

『らんな』


サソリが言い終わる前に、デイダラは座ったまま両手を広げた。その様子を見てから机の上にある試験管を見る。
新しい薬やらこの世話の掛かる相方用の解毒薬を作った時に、たまたま出来た産物。作り方も分量も全くもって偶然に調合された液体は効力が分からなかった為、後でこの相方に試させようとしていた。
しかし、その偶然に出来ていたた薄い紫色した液体が入った試験管は今は空だった。


空気蒸発するのか…と思った刹那、腰辺りに圧迫感を感じ視線を試験管から下へと落とせばデイダラがしっかりと抱きついていた。

『らんな』


呂律もまともに回っていないデイダラを見下ろす。頬を朱に染めるその姿は何ともそそられた。
サソリは溜め息1つ吐いてしゃがんでデイダラと同じ目線になる。デイダラは嬉しそうに笑って『らんな、すき』と言う。



『てめぇが、悪い』



サソリはデイダラの顎を持ち上げ赤みを帯びた唇に噛みつくようにキスをした。

31 Mar.,2013


朝、いつもの様に家を出て学校へと向かう。
そして正門が近付いて来るといつもいつも、探してしまう後ろ姿。


『――――…』


他に登校する生徒の人混みの中で目立つ鮮やかな色を見付けた瞬間にデイダラはその後ろ姿を凝視する。
地毛らしい紅い髪が微かな風に揺られて颯爽となびく様子はまさに芸術的だ、と思った。


赤砂、サソリ


デイダラは名前を心の中で口に出してみた。しかしその名と声はデイダラの身体を反復するだけで、当然相手には届かない。デイダラとサソリの接点は全くと言っていいほど無いため、知るのは名前と学年のみ。生徒数が多いデイダラの通う学校は当然クラス数も多く、顔も名前も知らない生徒も多々居た。


下駄箱に入り指定のスリッパに履き替える。
圧倒的な人混みで少し下を向いていただけで、もう目当ての人の姿を見失ってしまった。
その事に肩を少し落として廊下を歩いた。


教室のドアを開けて席へと向かう。自分の席は窓際の後ろから二番目。このクラスになってから仲良くなった飛段の前の席……。
デイダラは足を止め、自分の席の方を凝視した。飛段はいつも通り一番後ろの席で大袈裟に笑っている。そして、いつもなら開いているハズの自分の席が埋まっていた。


『…お!!デイダラちゃんじゃねぇか!!』


飛段はデイダラの存在に気付いたのか手を上げる。
するとデイダラの席に座り飛段と話していた人物が振り返った。

刹那、目が合う。

デイダラの席に座っていたのはついさっき見失ったハズのサソリだった。
目があったその瞬間にデイダラの胸はドクン、と高鳴る。整った容姿に濃い赤黄色の瞳、そして白めの肌を際立たせるような紅い髪、デイダラが心を持っていかれるには充分だった。


『なんだよ、そんなとこにボーッと突っ立ってよ?』


『何でもねぇよ、うん』



飛段の声にハッと我に返り高鳴る心臓を隠すよう笑顔を作り、自分の席に近付いて持っていた鞄を机の上に置いた。



『か?…』


『え?』


サソリに声を掛けられ、デイダラはうろたえた。
今まで背中しか見てこなかったから



『ここ、お前の席か?』


心地好い声が鼓膜を揺らす。デイダラは顔に熱が集まるのを感じた。


『あ、あぁそうだ、うん。でも話してんならオイラ座らねぇから大丈夫だ、うん』


早口にそう返事するとデイダラはそそくさとその場を離れた。あの場所にずっといれば顔が赤い事に気付かれ飛段にからかわれるだろうと思ったからだった。




『それでよ!!あんときのセンコーの顔といったら――――…』


会話を再開したのだろう、飛段の声が背中を押した。
心臓と同じくらい足は早く呼吸もなんだかおかしい気がした。
教室のドアに向かい、廊下へと抜け最後にもう一度だけ教室内を振り返る。


特有の笑い声を上げて爆笑する飛段とそんな飛段を呆れ見る紅い髪。
デイダラはそこでまた止まってしまい、紅い髪の横顔を見詰める。すると紅い髪を揺らし顔をデイダラに向けたサソリは笑い、口パクで言葉を紡いだ。


その言葉を理解したデイダラは頬を上気させて首を横に振ると
急いで廊下を歩いた。


暫く廊下を歩き続けてふと立ち止まる
記憶の中では先程の言葉とサソリの顔が反復していた



――――…【顔真っ赤だぜ、デイダラ】




『……バレバレか、うん』


そう呟いて頬に手を添えれば
熱に浮かされたように熱かった










(次はちゃんと交わそう)





29 Mar.,2013
午前壱時
午前零時の泥angle



造り物の肌に触れる。
いつもなら温かみのないその素材に体温が吸い込まれるのに、今はどっちもどっちだ


『――――…嫌だ』


言葉は涙と共に溢れて消えた
紅い髪の愛しい人は微笑んでいた



『旦那、嫌だ。忘れ、たくな、い』



自分の辿る運命を呪う。
自分が亡くしてしまえば、
もうこの温もりは手に入らないのだ。


左目を覆う前髪を払う手は優しかった。
その優しさが何よりも嬉しくて、哀しくて
温もりのない手をしっかり握る。



涙は止まらない
想いと一緒に溢れて溢れて
どうしようもなかった。


『旦那、旦那、オイラ…恐いよ。』


恐い。
貴方を忘れてしまう事が、何よりも


朝起きれば
仲間だったはずの皆の名前を忘れていた。

唯一覚えていたのは
愛しい紅い髪の人

恐かった。
頭が虫に食われたかのような感覚に陥る記憶
そして明日になればまた1つ何かの記憶を亡くしているのだ



『旦那、嫌だ、旦那を忘れたくない』



精一杯声にして主張した。
そんな事をしても意味が無いことは知っていた。


愛しい人は、笑う。
慈しみ、泣きそうな顔で



『デイダラ』



柔らかく、呼ばれた自分の名前。
もっと呼んでとせがんだ。
その声を忘れないように


せがむと何度も呼んでくれた
いつもなら絶対呼ばないのに、何だか狡い。



『デイダラ』




聞き慣れた心地よい声は
涙で濡れた胸を一杯にしてくれた

紅い髪がフワリと揺れ
愛しい人の顔が近付く。
『旦那』と小さく声を漏らすと唇が触れた







――――…カチリ









時計の音が部屋中に大きく響き渡ったかと思った瞬間に頭の中は白くなった。








『――――…あんた、誰?』

26 Mar.,2013
午前零時

『――――…嫌だ』


頬に触れる手は、冷たい。
お前は生身なのに、冷たいんだな。


『旦那、嫌だ。忘れ、たくな、い』


蒼い眼から大粒の涙が溢れる。綺麗だ。
もうすぐ、もうすぐしたらお前は…


右手で左目を隠す髪を優しく払う。その手をしっかり両手で掴みお前はただただ泣く。


『旦那、旦那、オイラ…恐いよ』


お前の言葉に俺は笑った。
大丈夫、そんな感情もきっともう…


時計を見れば、今日が終わる。
明日になる午前零時にデイダラは記憶を亡くしてゆく。

1つずつ、1つずつ確実に



『旦那、嫌だ、旦那を忘れたくない』



俺だって忘れて欲しくない。
お前の記憶に俺の存在が亡くなる事が
本当は何よりも恐い。



涙を流す蒼眼は、綺麗だった。芸術的だった。



『デイダラ』


名前を呼ぶともっと涙を流して『もっと呼んで』とせがんだ
時計を見れば、あと2分



今日は俺以外の暁のメンバーの記憶を亡くしたんだ。
次はもう決まっている。


俺は笑った。そして何度も呼んだ。


『デイダラ』



午前零時を指す瞬間にキスをする。
涙の味がした後に俺の名前を呼ぶ声が小さく漏れた。









――――…あんた、誰?






お前は知らなくても俺は知ってる
お前は覚えていなくても
俺は1つずつ覚えてる

だからこれから増やそう
俺とお前の記憶を


亡くした記憶を優しく抱いて。





26 Mar.,2013
返せ
『返せ』


オイラの芸術を


『返せ返せ返せ返せ返せ』


オイラだけの旦那を


旦那のお下がり傀儡を持った砂隠れの奴が出してきたのは、完全なる傀儡と化した旦那だった。
旦那は死んだ、そしてオイラも自爆死した。そして生き返った。旦那のスパイだったはずのカブト、とか言う奴が穢土転生をしてオイラ達を甦らせたのだ。オイラは感謝した、だってまた自分の芸術を披露することが出来る事になったのだから。けど今は、許せない


目の前にある光景がただただ赦せなかった。旦那が、使われている。その人形に意思は無くとも、その姿はオイラがずっと見てきた旦那そのものだったから。人を捨て自分を人形にした姿。


歯を食い縛る。ギリギリと音を立て睨み付ける。
何で、あいつが。反復する自分の声。一尾を狙う途中に出会った風影の兄貴。確か旦那と闘って負けたはずだ。なのに何で生きている、何で死んでない、何でその人形を我が物顔で使っている


生死などどうでもいい、ただその人形を使っていることがひたすらに赦せなかった。何で、てめぇが旦那に触れてんだ、オイラだけの旦那に


『返せ返せ返せ返せ返せ』


オイラは歯の隙間から声を絞りだし印を結ぶ。
取り返してみせる、絶対に。



その頭巾をひっぺがして面を殴ってから旦那に触れた皮膚を剥がしてやる。旦那を我が物顔で操っているその指を全部複雑骨折させてやる。



許せない、赦さない



『旦那を、返せぇぇぇ!!』



刹那、轟音が響き渡った


25 Mar.,2013
「#ファンタジー」のBL小説を読む
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