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私が飛びついた勢いでたたらを踏んだイタチさんだが、すぐそこから聞こえてくる足音で追われているらしいと察したのか背後にかくまってくれた。追ってきたアイツにぶつからないように角から二、三歩さがって待つ。案の定勢いよく飛び込んできた奴はイタチさんが居ることに驚いていた。そして、イタチさんの背後の私に視線をやって舌打ちを一つ。

「名前出てこい」
「絶対嫌です」
「……落とし前はきっちりつけさせてもらうぞコラァ」
「絶対嫌ですイタチさん助けて」

イタチさんの服の裾をギュウウと握って徹底防戦の構えをとる。いや、私が全て悪いんだけど。でも今更謝ったって許してもらえるとも思わないし、それ以前に私のプライドが許さない。何があったのか、と聞いてくるイタチさんに「風呂前でずっと待ってて出てきたのがイタチさんじゃなかったから八つ当たりしちゃったんですごめんなさい」と言えば、「それはしょうがないな」と言って私の頭を一回だけ撫でた。あれ?私一応先輩なのに。

「イチャイチャすんなよモォォオオ!!」
「うわっ、角都の相方が切れた」
「俺は黄泉だ!お前俺の名前も知らなかったの!?」
「……そんなことないよ。ね、イタチさん」
「そうですね」

顔を赤くして地団駄を踏み出す黄泉に恐怖を覚えつつも、怒りの矛先がズレたことに安堵した。何やら落ち込み始めた黄泉を尻目に部屋に戻ろうと方向転換をするイタチさんの後に続いて歩く。あれ?私なんでイタチさんを待ってたんだっけ。顎に手を当てて考えるも思い出すのは黄泉に牛乳をぶっかけたあのシーンだけ。

「どうしようイタチさん。私なんであなたを待っていたか忘れてしまいました」
「……」

そんな私を哀れみのこもった目で見てくるイタチさん。どうやら私の脳みそのキャパシティは大層少ないらしい。部屋につくなり寝ろ、とだけイタチさんは言って出て行った。とりあえず部屋までの道は守ってくれたらしい。あとは私が出なければ大丈夫。そう思ってさっさと寝てしまおうと布団に潜り込んだ時にノックの音。黄泉だったらどうしよう!足音を消してスコープを覗きこむと紫色のぐるぐるした目もまたスコープを覗きこんでいた。…リーダーだ。

「今晩はリーダー。イタチさんは今お風呂です」
「お前に用がある」
「……?」
「黄泉がな、お前とツーマンセルで任務に行きたいって直訴してきた。明日の任務、イタチとお前のツーマンセルから変更で、黄泉と行け」
「……………………………いや、イタチさんと行きたいなぁ、とか」
「イタチは大蛇丸と任務だ」
「!?!?」

色々な死亡フラグ!?黄泉と任務だなんていびり殺される以外の結末なんか見えないし、イタチさんと大蛇丸様のツーマンセルも嫌な予感しかしない。…そろそろ転生の時期にさしかかっている。そんな時期にイタチさんと大蛇丸様を二人っきりにしたくない。私がいた所で何もできないのだけれど、心の整理がつかないまま置いていかれるのが嫌だった。

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