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方法は簡単、私は大蛇丸様を避け続けながらもイタチさんから離れなかったのだ。カルガモの子供が親から離れないよう必死に跡を追うようにイタチさんが部屋の外に出るたびに私もその後ろをついてまわった。幸いなことにイタチさんが何も言わないので勝手に了承をえたことにしてある。共同風呂にまでついていこうとした時には、流石に追い払われたが。そんな私を見てサソリさんは呆れたように笑う。

「あんなにイタチのこと恐がってたのにな」
「実は優しい人ってことに気づいたんです」
「お前は大蛇丸の部下で、イタチの臨時の相方だ。イタチの本当の相方が来たらどうすんだ?」
「……」

どうしよう。イタチさんとは臨時でツーマンセルを組んでいることをすっかり忘れていた。真っ青な顔になった私を少し心配したのか、サソリさんがお茶を差し出してくれるが、受け取った指は情けなく震えていた。私にとってイタチさんは相方以上のものになってしまっていたのだ。

「まぁお前はペットみたいなもんだから、イタチも気紛れで飼ってくれるさ」

全然慰めにならない。そう、イタチさんに相方が来たら私の役割は終わりなのだ。今、私はイタチさんの部屋で生活しているが、出て行かなければならないだろう。どうしよう…どうしよう。ふらふらとサソリさんの部屋を出てイタチさんの部屋に向かう。イタチさんは今お風呂に入っているはずだ。部屋に行ってもイタチさんに会えない。少し考えた挙げ句、共同風呂の前で待つことにした。これならイタチさんも怒らないだろう。風呂の前に三角座りで座りこむ私を怪訝そうに見る角都さんに牛乳をもらい、それを啜りながらイタチさんを待つが、なかなか出てこない。あれ?こんな長風呂だったっけ。風呂の中を確認するかしないかで葛藤するなか、ガラリと戸の開く音に反応してそちらを向いた。

「……イタチさんは?」
「知らねェ。俺一人しかいないぜ」
「……チッ」

そいつは私に不幸の伝令を届けにきたあいつだった。ガクリと首をうなだれて立ち上がる。イタチじゃなくて残念だったな、と放たれた言葉にイラッとして飲みかけだった牛乳瓶を投げつけるとキャッチできたのはいいが、わずかに残っていた液体がかかることになった。舌を思いっきり出して脱兎のごとく逃げていく。後ろから罵声と追いかけてくる足音が聞こえてくるのを察して背筋が冷えた。入浴後だから武器を所持していないのがかすかな助け。曲がり角でぶつかった相手に、反射的に飛びつくとイタチさんだった。

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