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エルミナさんに空き部屋を借りて話をしたあと、当初の予定通り私たちは一旦七番街へ戻ることにした。それぞれ自分の目でしっかり現実を受け止めるため、そして、アバランチのメンバーの生存に少しでも望みをかけたいというバレットの気持ちを汲んだ判断だった。
プレート落下という大惨事に、七番街とは少し離れた伍番街スラムでも、人々は心配そうに外の様子を見ていた。そんな中を抜けて、住民の避難場所となっている六番街の公園へ辿り着く。そこにはワイマーや道具屋、武器屋の店主の姿もあり、見知った顔が無事だったことに心底ほっとした。

「七番街へ行くには、地下を通るしかないみたいね…」
「ああ、急ごう」

ティファとクラウドの会話に頷いて、公園の遊具下からマンホールの中へと降りる。七番街から避難してくる住民や避難誘導を続ける自警団とすれ違いながら、私たちは七番街へと戻って来た。
炎が未だ燃え盛り、建物のほとんどが見る影もなくなっている街に、覚悟はしていたけれど胸が押し潰されそうになる。これが私が住んでいた賑やかで温かい街だとは、到底信じられない。

「なんもねぇ……」
「……うん」

バレットがぽつりと呟いた言葉に、静かに頷く。そんな時に、よく知っている声が聞こえてきて、私は声がした方を振り向いた。

「マーレさん!」
「あんたたち…!」
「手伝うぜ」

どうやら女の人が、倒れた瓦礫の下敷きになって身動きが取れなくなっているようで。バレットとクラウドが、瓦礫を持ち上げようとしている自警団のもとに駆け寄って、なんとかその人を救出した。震えて泣きながらお礼を言う女の人をティファが優しく宥めて、彼女は自警団に連れられて公園方面へと向かっていくのを見送る。

「本当に、よく無事だったよ。…これからどうするんだい?」
「さあな…。俺たちにできること、見つけるさ」
「店へはもう行ったのかい?」
「いや……」
「確認してきたらどうだい?」
「じゃあまず店だ。それから考えようぜ」

バレットの言葉に頷いて、逃げ遅れた人がいないか声を張り上げながら歩き出すバレットに続く。着いた先は、やっぱり瓦礫の山だった。傾いたセブンスヘブンの看板を呆然と見上げるティファに、掛けられる声がない。私にとっても大切な、その場所。でもそれ以上に、ティファにとってかけがえのない居場所だったセブンスヘブン。それが炎に包まれて、ただの瓦礫になっている様は、言葉にはできなかった。

「ティファ……」
「…大丈夫」

無理をして笑っているのはすぐにわかった。やっぱり、どう言葉をかけたらその辛さを和らげられるのかわからなくて、ただティファの手を握る。ぎゅっと握り返されたその手は、少しだけ震えていた。

「……!ウェッジの猫だ」
「なに?」

突然クラウドが上げた声に瓦礫の隙間を見ると、確かにウェッジが飼っていた猫がこちらを見ている。
なんだろう。何か、伝えたそう…?
それから着いてこいと言わんばかりに鳴いたその子が駆け出すのを、私たちは頷きあって追いかけた。

「なに、ここ…」

地面に空いた大きな穴。そこに猫は飛び込んでいってしまった。

「行くしかないな」
「うん、ウェッジがいるかもしれない」

クラウドにそう答えて、穴の中へ飛び込む。中は思った以上に広くて、地下施設のようになっていた。七番街スラムの地下にこんなものがあったなんて、全く知らなかった。

「ふん、神羅くせぇな」

確かにバレットの言うとおり、見たところここは神羅の研究施設のようだ。私が過去にいた施設は、神羅カンパニーの本社内にあったものだからそれとはまた違った雰囲気だけど。それでも嫌な感じがする…。
中を少し進んでみると、先ほどの猫と、その隣に倒れる人影を見つけて目を見開いた。

「ウェッジ!」
「…くそ!こんなときにっ!」

慌てて駆け寄ろうと足を踏み出した瞬間に、地上で爆発が起きたのか、大きくぐらりと揺れる足元。その揺れはなかなかおさまらず、終いには私たちが立つ足場が崩れ、その場にいたウェッジ以外の全員が崩壊に巻き込まれた──。
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