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「お疲れ様。クラウドありがとう、ごめんね」
「あんたが謝る必要はないだろ」
「こういう仕事じゃなきゃ、色々使える手もあるんだけど」
「…ロクなやり方じゃなさそうだな。ああいうのは、できる奴に任せておけばいい」

もしかして、クラウドなりの優しさのつもりなんだろうか。有難い言葉だけど、と思いながらそれに返す。

「誰だって、そういう役回りは嫌でしょ。もちろん、クラウドも」
「俺は別に、」
「自分の価値を落とす必要ないよ。…なーんて、後輩に先輩からの有難いアドバイス!憶えておいてね」
「…おい、誰が後輩だ」
「あはは」

眉間に皺を寄せるクラウドに笑ってみせる。でもこれは本音。ちょっとくらい、自信持ったらいいのに。

「じゃあフィルター交換のお仕事は終わり。一旦セブンスヘブン、戻る?」
「ああ。……いや、ナマエ」
「うん?」
「少し付き合ってくれ」
「え、どこに?」
「自警団だ。縁を作る。…スラムの心得、なんだろ?」
「それティファから訊いたの?」
「ああ。それと、どうせあんたは暇だろうから連れていけとな」
「…もー、ティファ、ほんと勝手に…。暇だけど」
「だろうな」

だろうなって失礼な、という言葉は呑み込んだ。どうせやることも無いし、この仕事が終わったら自警団の手伝いでもしようかと思っていたところだったから丁度良かった。

「うん、いいよ。クラウドだけだと、ロクに人脈作れなそうだしね」
「喧嘩でも売ってるのか」
「まさか」

眉間に皺を寄せて睨まれたけど、にっこり笑って返して、ビックスとウェッジが待機しているであろう武器屋の上階に向かった。

「ビックス、ウェッジ、ご苦労様」
「おー、ナマエ。と、クラウドも一緒か」
「もしかしてクラウドさん、入団希望っスか?」

ウェッジがきらきらとした目でクラウドを見る。
クラウドかなり期待されてるなぁ、なんて思いつつ、腰元のダガーを手持ち無沙汰に弄りながら会話を訊く。

「場合によってはな。自警団は何をするんだ?」

そのクラウドの言葉に、ビックスが丁寧に自警団の活動内容を説明してくれた。私もよく知ってる通り、その殆どがモンスター退治だったりするから、クラウドには向いてると思う。

「そうそう、評判作りならもってこいの話があるぜ?」
「やばいの?」

大袈裟なくらいニヤリと口角をあげて話すビックスに、思わずダガーを弄ってた手を止めて、そう聞き返す。大体ビックスがこういう言い方をする時は、本当にやばいか、逆に拍子抜けするくらいのガセネタかどちらかだ。

「あぁ、俺たちじゃお手上げのモンスターだ。金は出せないが、俺らなりの礼はする」
「訊こう」

モンスターと訊いてか、意外と食いついたクラウドに単純だと苦笑したのは秘密で、ビックスからその詳細を訊く。なんでもガレキ通りにそのモンスターが出たらしく、討伐のお礼はなんでも屋の宣伝とのことで、今のクラウドにはかなりの好条件に思える。

「うん、この話受けよ?」
「…まさかついて来るつもりか?」
「え、だめ?」
「一人で十分だ」
「道わかるならいいけど。それに、一緒に話訊くだけのために引き留めたの?」
「…はぁ。わかった、頼む」
「はーい、任せて」

渋々同行の了承をもらって、さっそくガレキ通りに向かうことする。
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