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マーレさんは本当にいい人だと思う。ティファと、それから私のこと、孫のように大切にしてくれる。

「ナマエ、あんたはここ長いのか」
「うん、もう6年。スラム生活だけでいうとティファより先輩。ということはぁ、クラウドよりずーっと先輩」
「あんたが?…ふ、有り得ない」
「え、今笑った?」

びっくりして、足を止めて振り返る。微かに上がっているクラウドの口角。でも想像していたのとは全然違って、あったのは馬鹿にしたような顔。ちょっとだけ癇に障ったけど、意外にも人間らしい表情に正直嬉しいとも思った。自然と私も口角が緩む。

「…馬鹿にされてなんで嬉しそうなんだ」
「あ、やっぱり馬鹿にしてたんだ」
「さあな」

そんな身も蓋もない会話をしながら、最後の武器屋へ向かう。何でだろう、昨日よりずっとクラウドを近くに感じて、それが嬉しいと思ってしまう自分がいる。急に襲いかかるような真似をしておいて何だけれど、昨日まではどこか距離を置かれている気がしていたから。ただ、痛めた肘のことは許していないけれど。

「さ、ここが最後。でも、もしかしたらクラウドの出番かもね」
「どういう意味だ」
「昨日立ち寄った時、店主さん相当機嫌悪そうだったから。フィルターのことも色々言ってたし…」
「…何かあれば、俺が出る」
「うん、ごめんね。なるべく穏便に済ませるから」

ふぅ、と息を吐いて武器屋に足を踏み入れる。店主さん、普段は悪い人じゃないけど、虫の居所が悪いと荒れるから大変だったりする。

「こんにちは」
「ん?あぁ、ナマエか。昨日来たばっかりだったろ、どうした」
「今日はティファのお手伝いなんです。フィルターの件で」
「あぁ?あのフィルター、全然効果ないぞ!」

やっぱりそうなるよね、と内心思いながら、新品のフィルターを差し出す。

「ごめんなさい。新しいもの、試して頂けませんか?」
「もう要らないから、帰ってくれ」
「…そうですか。お役に立てず、すみませんでした。ではここまでの精算、お願いします。」
「なんだと…?効果ゼロなのに払うかよ!世の中ナメてるんじゃねぇぞ!」

腕組みをして少し後ろでその様子を見ていたクラウドに目配せで助けを求める。本当なら私一人で何とかできればいいんだけど、ティファの代理として来ている手前下手なことをして泥を塗るわけにもいかない。

「払うよな?」
「…ちっ」
「ありがとうございました」

流石に納得はしてもらえなかったようで、イラついたように代金をカウンターに叩きつける店主さん。気持ちはわかるけど、とわからないように苦笑する。代金はクラウドに手渡して、一旦私達は店を出た。
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