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「あんた、いつもあんな感じなのか?」
「…ん?あんな感じって?」
「……いや、いい。次、行くぞ」
「えぇ、なにそれ。自分勝手だなぁ」
クラウドが言わんとしていることがわからず首を傾げるけれど、それ以上何か言うつもりはないとばかりに歩き出してしまう。突っ込むのも億劫だから、言われた通りに次の場所へ向かうことにした。
「次は、天望荘の大家さんのとこ」
「ああ…朝会った」
「そうなの?マーレさん、アバランチの協力者でもあるんだよ。そういうの苦手だろうけど、ティファの為だと思って愛想良くしておいた方がいいかもね?」
「俺向きじゃない」
「あはは、言うと思った」
想像通りの言葉が返ってきて、思わず笑ってしまう。
「勿体ないなぁ」
「なにが」
「クラウド、すっごく格好良いのに」
「は…?」
「それで愛想良かったら絶対モテそう」
「…興味ない」
まぁ、愛想良すぎて勘違いされるザックスみたいな人もいるから何とも言えないけど。やっぱり正反対なんだよね、ザックスとクラウド。なんて、知らない内にまたザックスのことを考えて、寂しくなってやめた。
「…クラウドは、そのままでいいのかも」
「……ナマエ?」
独り言のように呟いた言葉は、クラウドに届いてしまっていたらしい。怪訝な顔をしたクラウドに、何でもないと笑って頭を振る。丁度天望荘の前に立つマーレさんが見えて、私は駆け出した。
「マーレさーん!」
「おや、ナマエ。…と、あんたもいたのかい」
「仕事だ」
「ティファの代わりにフィルター交換に来ました。クラウドは集金係!」
「そうかい。ご苦労だね。あんた、ティファとナマエをちゃんとお守りよ」
「マーレさん、私もティファも強いからそんな心配いらないよ」
「知ってるよ。でもクラウドにやらせないと」
マーレさんはそう言ってクラウドを見る。またそんな顔して…。愛想良く、と指摘する意味で大袈裟に笑顔をつくって見せる。それを見てクラウドは、わざとらしく肩を竦めて見せた。はぁ、前途多難。
「こんな愛想なしだもの。戦うことくらいしか取り柄がないんだろ」
「そんなことはっ──」
「なくもないけど、私結構頼りにしてるんだ、クラウドのこと」
「…!」
「へぇ、そうかい。そういうことなら存分にコキ使ってやりな。ほれ、手ェ出しな」
そう言ってマーレさんは笑うと、クラウドにフィルターの代金を手渡した。
「マーレさん、ありがとう!それじゃあ、行くね。ティファにもちゃーんと伝えておくね」
「ああ、気をつけるんだよ」
「はーい!」