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【キンセツシティとキンセツ市警察】


ニューキンセツ計画
 ホウエンの首都・キンセツシティ。人口増加による居住区の確保や、最先端のライフライン設備の設置を目的としたキンセツの大都市化計画が『ニューキンセツ』である。50年程前から構想の提案はされてきたが実現には至らず、20年前にようやく着工した。当初はキンセツに隣接する形で69階層に及ぶ地下都市の建設が予定されていたが、参加していた中心企業のひとつ、世界に唯一の巨大掘削機を所有する『ダイキンセツホールディングス』の倒産により計画は白紙に戻った。
 紆余曲折を経て3年前に完成したニューキンセツシティは地上69階の高層都市で、セントラルタワー(中央棟)と東西南北に建つ4つの外方タワーからなり、街全体が屋内となっている。周囲は巨大な木々に囲まれ、街並みは普通の都市とさほど変わらず、施設内の天井や壁には空の様子が投影され、人々は人工物の中で暮らしていることを全く意識していない。これまで煩雑だった各階の移動も、近年導入された海外企業製の『転送式エレベーター』により劇的に改善された。階内の移動にはバスが、塔間の移動にはリニアが使用される。

キンセツ市警察
 街の治安維持活動を行っている警察機関である。ニューキンセツの完成を機に警察組織改革が実施され、セントラルタワーに市警本部、その周囲、東西南北に建つ外方のタワーにそれぞれ所轄署を置くことが定められた。
 ノッジャらの所属する『第三分署』はセントラルタワーの東に位置する所轄署である。ホウエンに3つある国立大学のひとつ・デルタ校を擁する豊かな緑に囲まれた東塔は、最も犯罪が少なく住みやすい地域であるが、それゆえに刑事課はしばしば「給料泥棒」などと陰口を叩かれることもあるようだ。

日陰の土地
 ニューキンセツが旧キンセツを潰して建てる設計に変更されたとき、住民らによる反対運動が起こった。抗議のデモはやがて暴徒と化し死者や怪我人を出したため、市政は対処を迫られた。ニューキンセツ上層階には富裕者にのみ居住が許される高級住宅街のエリアの確保が決定されていたが、市政はそこへ元住民を無償で優先的に受け入れることを約束し、反対派の多くは提案を受け入れ沈静化した。
 しかし、古くからの『キンセツ』という土地、そして本物の太陽の下で暮らすことを重んじた者は、市政からの提案を受け入れることはなく、立ち退きに応じることもなかった。ニューキンセツの最下層、巨大な建造物に覆われ、陽の光どころか人工太陽の恩恵すらない旧キンセツ『日陰の土地』。そこに今でも暮らす人々がいることを、箱の中の住人は知る由もない。

上位種(メガシンカ)
 通常の成長過程を越える進化をした特定の種族・個体を指す。色違いと同じ突然変異種とされるが、上位種となる種族は限られている上、後天的なものである。現在のところ2地方でのみ確認されていて、発祥の地であるホウエンから、3000年前にカロスへ伝播したとされる。土地に宿る自然の力が人間の進化を促すのではないかと考えられている。
 上位種になった人間は元に戻ることはない。通常持ち得ない力を発揮したり、外見が変化したりする。上位種として得た力と、力の器としての身体・精神的能力が吊り合わない場合死に至ることが多々あり、上位種人口が圧倒的に少なく研究は進んでいない。

連続心中事件とネヴィウス
 ネヴィウス(メガユキノオー♂)は、一代で築きあげた会社と、妻と3人の息子、幸せな家庭を持ちながら、上位種の力に耐えられなかった身体のせいで医者から余命を宣告をされていた。ネヴィウスは自身の延命のため狂ったように上位種研究へ巨額の投資をするようになり、実験材料として息子の命さえも差し出した。その研究の過程で生まれたのが人工上位種『ドルサ』である。ドルサは自我を失い研究所員を殺して脱走した。
 一方、ニューキンセツが完成してまもなく、都市では心中が多発していた。夫婦や恋人が互いに殺し合うような形で死亡しているこの不可解な案件を、警察は事件として処理しようとせず隠蔽した。当時市警本部に所属していたノッジャは組織に不信感を抱き、上層部からの命令を無視して単独で捜査を続けた。やがて『ドルサ』の犯行であることを突き止め追い詰めるも、陰からノッジャに協力していた落夏がドルサの術中に陥ってしまう。彼女を助ける術がないことを知ったノッジャは、落夏ごとドルサを射殺したのだった。
 ノッジャはドルサを囲っていた研究所、それに加担していたネヴィウスを検挙しようとしたが、警察に追い詰められたネヴィウスは自殺。ノッジャは命令違反で外方の所轄署へ異動になり、誰の口からも真相が語られぬまま事件は幕を閉じた。

上位種は『神に選ばれし新人類』か?『呪いの力』か?
 『轟音とともに欠落したものたちが現れ、地を這いずり回り世界は土煙の闇に覆われる』。シンオウに伝わる『終末の神話』を信じる者はホウエンにも存在する。いずれ破壊されるこの世界から、神に選ばれた上位種だけが理想郷へ行くことができるという。そして神話を狂信し、上位種以外の人間を排除するという過激な思想を掲げ暗躍する組織の存在。なぜ上位種は生まれたのか?『選ばれた者』を巡り交錯する人間の想いを、キンセツのメインコンピュータであるAI『ラトラックス』だけが記録していた。
 そして未来へ続く話。たとえ許されなくてもこの街を愛そう。






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