ついのべ

空におちる夢をみた
140字の文章 配布元・お題は後書きに記載


風を探しているのです。ある人はそう言って長い髪を空になびかせていた。空白もそれ以上の言葉もさらに彼女を彼女の正解から遠ざけてしまう気がした。気がつけば私は言っていた。雨を見つけたいのです。彼女は顔を上げて、見つかるといいですねと呟いた。それから私たちはそれぞれの方向へ歩き出した。
June.8 後書き

#tw月の友13
今日は初の月旅行。十五夜は倍率が高すぎた。十三夜もなかなかの倍率だけれど何とかチケットが取れた。大気圏を抜け宇宙へ。離れてく地球。近づくほど大きく美しい月。宇宙で初めてわかったんだ。宇宙では月はいつも満月で美しいし、地球はいつも青く美しい。そういう意味でも無限の宇宙。
November.3


握ろうと手を伸ばした間の風。目を合わせようと動く睫毛。機嫌がいい時の微笑をつくろうとする口角。おはようと言う直前の吐息。あなたを愛する理由はそういうところにもあるのです。どうかこれからもそんな私でいさせてください。その願いの直前の感情の高まりが愛おしくて尊くて仕方がない毎日です。
October.4 後書き


追いかけられているか逃げているか戦っているか落ちているかそんな悪夢ばかり見ている。その日の"敵"はシルクハットを取って一礼した。背中には尖った尻尾が見える。「いやあ、いい悪夢を見てますね。いいですよ貴方」訳が分からないまま私に向かってきた敵を尻尾で一掃する。「実においしそうだ」勘弁してほしい。私は子供でも若くも美人でもない。逃げようとせめて落ちようとするよりも"敵"のが速かった。苦痛よりも解放感があり絶望よりも一縷の光が見えた。気がつくと朝になっていた。その日から悪夢を見なくなった原因を未だに見つけられない。
October.2

ソイラテ
「何その飲み物」男のくせにこの色の違いが分かるとはなかなかじゃないか。さすが私の腐れ縁男。「牛乳じゃないでしょ?」「ソイラテ」「トルコ原産?」「違うよ」「じゃあタイ?」その発想の起源は不明だが、心地よいからもう少し日常においておきたい。不幸と多忙の真ん中に、ミルクよりも淡い幸せ。
October.1 後書き

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