ついのべ

空におちる夢をみた
140字の文章 配布元・お題は後書きに記載


小さい頃からモノマネをするのがうまいと言われてきた。初対面で特技と答えれば、やってみせてとせがまれて笑いをとれればことあるごとにネタにされる。何故か笑いがとれなくてもそう。この時代は自分が笑われないために誰かを笑うことで成り立っているのだ。さて私は今誰の真似をして立っているのか。
April.22

仮面との境界がわからなくなりました
新型の感染症が流行ってからというもの、マスクが売り切れてしまいました。私は代わりに素顔そっくりの仮面をつけることにしました。これは非常に便利です。化粧をしていなくてもバレないし、笑っていても変な顔をされないし、ひどい言葉に涙していても人目を気にすることはありません。とても楽です。
April.17 後書き

そうだ、君なんていなかったと思えばいい
毎日現れていた彼女は今日から現れなくなった。透けるような白い肌が懐かしい。いつも夜になると一緒に動画を見ようと机の向こう側からのぞきこんできた。そうだ、君なんていなかったと思えばいい。もともとこの世界にはいないはずだったのだから。専門の人に頼んでよかった。今日のお祓いは大成功だ。
April.17 後書き

「1回出したら消えないものは?」
「1回出したら消えないものは?」君からのなぞなぞに答えられないまま、1週間が経った。答えを教えてくれる約束だったので、放課後待ち合わせをする。答えが見つからなかったことを伝えると、彼女は少し照れたように言った。「答えはねどうやっても同じ関係には戻れないから『私は君が好きです』だよ」
April.17 後書き

「君の優しさは容赦がないんだ」
毎月14日、記念日に彼女は私にお菓子を手作りしてくれる。長年友達をやっているから、私の好みをよく分かっていて、私の好きなものばかり作ってくれる。バレンタインの日も作ってくれたけれど、お返しはしなかった。どうしても、ホワイトデーに失恋した私のためのお菓子に応えることはしたくなかった。
April.17 後書き

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