ついのべ

空におちる夢をみた
140字の文章 配布元・お題は後書きに記載

ダンス
暗闇が濃いほどランプの淡い光が美しく陰る。影は長ければ長いほど床の模様として映える。一人の舞台のまたの名は独壇場という。観客がいない舞台は自由に舞うための場所。爪先でターンをきめて両手を優雅に広げる。ここがたとえ地獄の果てであったとしても私達が描くのは形のない夢の続きだ。
August.14 後書き

隕石
その奇跡を隕石落下の確率と衝撃に例えた人がいた。僕の父だ。母に会った時の話を今でもしてくれる。信じられなかったが、体感してみると事実以外何物でもない。外見が奇抜なわけでも会話をしたわけでもないというのに。ちなみに僕の場合はニャアしか言わない真っ黒な相手。名を隕石としよう。
July.14 後書き


テレビからつまらない番組が流れていた。自分の経験を語りつくす人たち。自由なのに不自由なことを信条だと自慢する人たち。違う世界の人だ。モーニングコーヒーの苦さもいつもと違うように感じる。それか変わりようのないニュースにするか。私の手はテレビのボリュームを下げることにとどまっている。
April.26

溜まったものを吐き出す事も出来ずに
あなたが眠るまで髪を撫でていることしかできなかった。この世界に存在することだけで正しさは証明できないのか。共感もできない人波は冷たい。続けることしか正解を導けない私達は今日も夜を越えていくことしかできない。明日は世界が味方してくれるだろうか。いや、明日も共にいることを選ぶためだ。
April.22 後書き


ここが世界の果てでも諦めないと言ったあの人。確かにこの世界は暗くて私は何かに傷つけられてばかりだ。ここはとても世界の果てに似ているように見えるのだが、あの人がいないところを見ると違うらしい。よく見ると薄暗い中に道がぼんやりと続いているのが見えた。残念ながらまだこの道は続くらしい。
April.22

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