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ごったけ(ビスコッティへ捧ぐ)


月のない夜に、強い風。音も姿も消してくれるこんな日は、忍者にとって実に動きやすい。
きっと今頃学園では、あの忍術学園一忍者しているギンギン先輩を始め、多くの生徒が鍛錬に勤しんでいるのだろうなぁ、と竹谷八左ヱ門は今ここではない帰る場所に思いを馳せた。
今現在、五年生は学年合同の夜間実習中である。八左ヱ門はペアである久々知兵助とともに無事に課題を達成し、集合場所へと向かっているところであった。
ガサガサと風に揺られて鳴る葉擦れの音を邪魔しないよう、闇夜を走り抜ける。
不意に、兵助と違う気配を感じた。ハッとして兵助に矢羽音を飛ばす。追っ手ならばこのまま集合場所まで行ってしまうのは危険だ。今ここで……
「ハチっ!」
兵助の声が聞こえたと同時に背中に走る痛み。
「く、そ……っ」
もう一人いたのか……!
かすんでいく視界に兵助の見開いた目を最後に映して、意識が途切れた。





ぼんやりと聞こえる人の話し声に、ふわりと引き上げられるような感覚。
あ、れ……?
薬臭い匂いが鼻について目を開けると、規則正しい木目。辺りを見回してここが保健室だということを認識する。と、同時に意識が途切れる前の記憶が蘇りガバリと起き上がった。
「ッ!? つぅ……っ!」
背中に走る痛み。思わずうずくまると、物音を聞きつけたのか衝立の先にいたのだろう伊作先輩がこちら側に入ってきた。
「竹谷起きたんだね! あぁ、まだ安静にしてないとダメだよー。一応骨に異常はないみたいだけど打撲程度にはなってるからねー」
伊作先輩が背中を診るために後ろに回るのを横目にしながら焦って口を開く。
「先輩っ! あの、兵助は……?」
「久々知? 彼ならもうそろそろ来るんじゃないか?」
「え?」
途端に、バタバタという足音がいくつか聞こえてくる。がらっと勢いよく開けられた保健室の戸。
「「ハチっ!!」」
ドッと入ってきたのは兵助、勘右衛門、雷蔵、三郎の四人。わらわらと八左ヱ門の周りに集まってくる。
「兵助! 無事だったんだな! みんなも!」
ホッと息をついて言うと、キッと睨みつけられる。え、俺何かしたっけ……?
「無事だったんだな、じゃない! ハチお前勝手に倒されてるなよ! どれだけ心配したと……っ!」
「そうだよはっちゃん! あの時ちょうど俺たちが通りがかったから良かったものを!」
「まあまあ兵助も勘ちゃんも落ち着いて……」
「まったく、何も攻撃しないままに後ろからやられるなんて八左ヱ門も阿呆だな」
「三郎! もう……。でもハチ、僕らほんとに心配したんだからね?」
口々に言い募る友人たちに、思わず笑みがこぼれる。
「おう! 心配させてごめんな。なんか、ありがとうな!」
自分の心配をこんなにしてくれたという事実が、八左ヱ門はとてもうれしかった。自分にはこんなに思ってくれる仲間がいるんだと、そう感じて。















中途半端だねごめんね。あんまりごったけになんなかった……五年がわちゃわちゃしてたら可愛いねって思ったらなんかそれだけになりましたとさ。
とりあえずビスコ誕生日おめでとう!!おけま
20120928.


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