つづくことば その7


次の言葉の続きを考えましょう。

詩や小説のタイトルにするのも可

上3つはまだしも、下3つは元気に百合。相変わらず長いよ(`・ω・´)(`・ω・´)


*眠いけどまだ
眠れないの
真っ赤な林檎が手からつるりと滑り落ちて、ぽおんと跳ねる。溜め息のようなその音に、私は思わず感嘆する。
眠りたいのに眠れないの。
かさついた唇から発せられた言葉は、矢張り乾いていた。
眠りたいの、寝てしまいたいの。
だけど、だめみたいなの。
それは私の赤色の心臓が、きっとまだ息づいているため。林檎がころころ転がって、私の身体から離れてく。私の意思と解離してゆく。
ああ、とついた溜め息で魂を吐き出せればと思う。
そんなに眠りたいの。
気だるげに冷たいリノリウムの床に寝転ぶ私に影が落ちた。ゆるりと視線を持ち上げれば、真っ黒な装束を身に纏った、烏鳥。
うっそりと、首肯する。
そう。
淡々と、しかし眉を潜める烏。
うん。
どちらともなく私達は頷いた。
そうして。
ぐじゃりと貴方は足元に転がった心臓を踏み潰した。


ニヒリズムとスーサイド



*痛い事言う
この口塞いで。
毒を塗りたくった唇で構わない
舌を噛みきられたって構わない
想いなんてなくたって構わない
から。

ただ、貴方のキスが欲しいだけなの


片想いと戯れ言



*フルーツケーキはじっこ
甘いもの嫌いだっていってたくせに、そのケーキは食べるんだね。
フルーツケーキはじっこ
君が苦虫を潰したみたいな顔をしてそれを食べるのを、嬉しそうに見る君が羨ましくて、妬ましくて。
甘いものが苦手な貴方にはフルーツケーキはじっこ
甘いものが大好きな私にはフルーツケーキいっこ
結局私は、君とケーキ、食べれなかったなあ。


sweets are (not) evil.


*変わるのは何時かな?

「ね、私のこと好きでしょ?」って、囁いて、お姉様は椅子に座らされているわたしの前に屈む。顔あげて、と耳元で囁かれる。その甘やかな声と吐息にぞくりと肌が粟立った。せめてもの反抗代わりに、ぷいと俯いたまま顔を横にそらす。お姉様が眉をひそめたのが目の端に入った。やばいな、とは思ったものの、もう遅くて。意地悪って呟いたお姉様は、そっとわたしの頤を捉え、力任せに正面を向かさせられる。思わずひきつるわたしの表情に対し、お姉様のそれはすごく輝かしかった。にこにこな素敵な笑顔。誰が見たって完璧な笑顔。だけど、わたしにはそれがどうしても歪に見えて。わたしと視線を交わると、彼女はますます柔らかな笑顔になって。
「私のこと、好き?」
もう一度、尋ねられる。
頤にかけられた細い指が、肌に食い込む。返答次第では、どうなるか知れたものではない。今回こそ、……襲われるかも。場所も絶好だし。
けれど、だからと言って、わたしは引くわけにはいかなかった。ここでお姉様に屈する訳にはいかないのだ。わたしはきっとお姉様を睨み付けた。そして、
「お姉様がとってもアタマおかしいのは解りました」
と、吐き捨てる。
わたしの反抗的な態度にお姉様は一瞬だけ瞠目した。
「大体、こんな事しといてよくそんな事、訊けますね」
わたしに睨み付けられ、それでも飄々とお姉様は笑っている。
「椅子に縛り付けられてるあなたも素敵よ?」
「そういう事、訊いてるんじゃありません」
わたしは椅子の背凭れを抱え込むようにして後ろ手で縛られた手をモゾモゾと動かした。わざわざ、タオルの上から紐で縛られてる。手首に痕が付かないためだろう。……忌々しい。
「あなたの手に痣がつくといけませんから」
そしてまたにっこり。
相変わらず顔だけはいいんだから。この顔にうっかり絆されたのが運の付きだったんだ。まさか、たった二人の部活の先輩が、人を平気で監禁するような頭の可笑しい人だなんて、どうして解るだろう。
「先輩、離してください」
「お姉様ってよんで?」
いやいやと可愛らしく首を横に振る。その動作の可愛らしさに反して、わたしの顔には指が食い込むばかりだ。正直かなり痛い。
失言厳禁。わたしには肉体的被虐趣向はない。
「お姉様、離してください」
「好きって言ってくれるまでだめ」
言う通りにしてるのに、拒否られるなんて理不尽だ。
「わたし、"お姉様"には好きだなんて言いません」
わたしは彼女に初めて好きだって言われたとき、絶対"お姉様"には告白しないって決めたんだもの。
意思を込めて言ったその意味は、どうやら彼女には伝わらなかったらしい。
「おかしいですよ。あなた、私の事、」
とっくに好きでしょ。
アタマはおかしくっても、そういう勘は鋭いですね。
なんて。勿論言えるはずがない。
代わりにお姉様を睨み、挑発するように笑って見せる。
「違いますよ、わたし。」

お姉様の事は嫌いなの。


If you can make a change, I will talk you that...


*舌を出して空気を
「べーってしてくれない?」
「なんでですか?」
「キスしたいの」
「え。なんでですか?」
「だから、キスしたいの」
「そうじゃなくて。なんで、わたしなんです?」
「好きだからに決まってるじゃない。しらなかったの?」
「ええ、初耳ですね」
「あ、そうだっけ?」
「ええ」
「そっか。あのね、君の事が好き。だから、キスしてもいいかしら」
「だめです」
「なんで?」
「わたしの気持ちも知らずに事に及ぼうとしないで下さい。好きな人が別でいたらどうするんです?」
「え、いるの?」
「それに、」
「!?」
「わたしからするんで。だめです」

(も、もう一回!)
(やですよ。……一週間分の勇気を使い果たしちゃったんですから)


merry merry sweetheart.


*舐めたら終わりにしよう
いつものように、お弁当片手にやって来た屋上。しかし、いつもとは違って、そこに人気はなくって。
おかしいな、いつもは先に来てるのに。首を捻りつつ、定位置に座る。暫くはお弁当を食べずに待っていたのだが、十分待っても二十分待っても姿を現さない後輩とのランチタイムを、私はついに諦めることにした。このままじゃ、私、昼ご飯食べ損なっちゃう。
いそいそとお弁当を袋から取り出し、ふたを開ける。今日はハンバーグだ。つい顔が綻ぶ。いそいそとハンバーグに箸を伸ばした瞬間、屋上の扉が勢いよく開いた。
ばん!というその音に思わず肩が跳ねた。驚いて扉の方を見れば、そこには息を切らした後輩が。彼女は私を見て、ばあっと顔を輝かせた。
「せんぱいっ!シュークリーム作ったんです。食べません?」
調理実習で、いなかったんだ。
一人納得。
私の横に彼女が座ったのを見て、
「へー。上手くできたの?」
と、訊ねる。
「当たり前じゃないですかあ!一番いいの、持ってきたんですよ」
言いつつ、彼女は手にしていた小さなハンドバックからシュークリームを二つ取り出す。
「どっちもくれるの?」
「むう。一個はわたしの!一緒に食べようって気はないんですか?」
「あはは、ウソウソ。お弁当食べちゃうから、ちょっと待ってね」
彼女のふくれた頬をつんつんつつく。
「早くしてくださいね」
分かってるって。
私は小振りの弁当に残されたおかずをひょいと口にほおりこむ。
「お茶、いります?」
ごっくんと咀嚼もそこそこにおかずを飲み込むと、お茶を差し出された。ありがと、と受け取り、飲む。
「えへへ、イチゴと普通のあるんです。どっちがいいですか?」
「んー、イチゴ」
「はい。味わってくださいね?」
手渡されたシュークリームはまだほんのり暖かった。
「じゃ、いただきまーす」
ぱくりとシュークリームを食べる。
私の反応をうかがうように隣の後輩がちらちらこちらを見ている。
もぐもぐと丁寧に噛んで飲み込む。
「ん、甘くて美味しいよ。よく出来てる」
「うふふ。もっと褒めても良いですよ」
私の反応にほっと安堵の息を漏らした彼女は、そのまま自分のシュークリームにかぶりついた。
彼女の持ってきたシュークリームは本当は少し皮が固くて、クリームも混ぜすぎたのかぼってりとしていたけれど、まあ及第点かな。それに、この子が作ったってのも大きいよね。
なんて、私の思案は彼女は知らなくって良いことだ。
小振りのそれは三口もあればすっかり食べ終わった。後輩に目をやると、彼女もあと一口というところ。美味しそうにシュークリームをぱくつく彼女を微笑ましく思うと共に、ふといたずら心が沸き上がってきた。
「ひいな、」
名前を呼ぶ。
何ですか、とシュークリームの最後の一欠けを飲み込んだ彼女がこちらを向いた。
逃げられる前に、と素早く手を伸ばし、彼女の頬を包む。
「せんばい?」
きょとんとした顔のひいなに笑いかけ、彼女の頬を軽く舐めた。
「ひゃっ。ど、どうしたんですか……」
顔をうっすらと赤く染めて、彼女は困惑の表情を浮かべている。
「クリーム、付いてたから」
「教えてくれればいいじゃないですか!」
「なんかもったいなくって」
「むー。じゃ、先輩」
どこか納得できないらしく、ひいなは自分の頬を包む私の手をがっしと握った。
「なに?……って、きゃあっ!」
手首を握られたまま、ぐいと体重をかけられた。ぐらりと重心が揺らぎ、私の視界は反転した。
それが、ひいなに押し倒されたためだと気づくのに、数秒かかった。
「え、え、ひいな。どうしたの?」
視界には一杯の青い空と、ひいなの顔。贅沢な光景だなあとぼんやりと思う。
「先輩も、クリーム付いてます」
伸ばされたひいなの右手がそっと私の唇に触れた。そして、可愛らしく、小首を傾げる。
これは、ひいなが嘘をついたときの癖だ。
嘘、と拒むこともできたけど、ひいなを見てると別にそんなことしなくてもいいかと思い直す。
「どこ?」
「んっとですね」
私の言葉に促されるようにして、ひいなは顔を寄せてくる。
互いの睫毛の数すらも数えられそうな、そんな距離。ひいなの黒目がちで大きな瞳が目蓋で覆われる。
否応なく高鳴る鼓動が重なりあう。
あとちょっと、もうちょっと。
でも、手を伸ばすのははしたない気がして、眠り姫宜しく目を閉じて待つ。
ほんの数秒に焦がれるのは、ひいな相手くらいだ、そんなことを考えていたら、唐突に無慈悲に時が限界を告げた。簡単に言おう。昼休み終了の鐘がなったのだ。
そろりと目を開ければ、ビックリするほどの近い距離にひいながいた。目が合い、同時にはにかみあう。
「……えっと、先輩。次の授業、サボりませんか」
彼女の瞳はすっかり飲み込まれていて、もはや世界には私とひいなしかいないような気になるけれど。
ま、それはやっぱり。

「授業をさぼるのはだーめ」






お疲れさまでした。


感想などありましたら…

*なんか、爆発した。
異常に楽しかったです。













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[2012.1224]




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