個性 | ナノ




 オイラはジャック。誇り高き盗賊団“スネークテイル”の一員だ。盗賊団って言っても4人しか居ないんだけどね。
 最近ちょっと悩みがあるんだなぁ……あっ、その前に盗賊団のメンバーを紹介するよ!

 まずはボスのゴードン・ギャレット。オイラ達は親父って呼んでる。だって、オイラ達を拾ってくれたんだもの!
 顔は恐いけど、すっごく優しいんだぜ!(怒ったら本気で恐いんだけどね……)
 お次はカイル。カイルはオイラ達が親父に拾われる前から親父と一緒に居る、オイラ達の兄貴的存在だ。
 あ、親父とは血の繋がりはないんだぞ。カイルはオイラ達とは種族が違うからな!
 すっげー女の子にモテるんだ……カイルが通った後には塵も残らないって誰かが言ってたなぁ……どういう意味か良く分かんないけど。
 そして、オイラと一緒に拾われたヒューだ。
 ヒューは大人っぽくて頭が良いんだ。良くオイラは騒がしいって怒られるよ。
 ヒューも女の子に人気があるんだよなぁ……。本人は全く気にしてないみたいだけど、密かに女の子達がヒューの事をカッコイイって言ってるのをオイラ聞いちゃったんだ!
 何て言ってたっけなぁ……「つれない所もまたイイ」だっけ。つれない、って何だろう?

 ま、いいか。

 そしてオイラだ!
 オイラはムードメーカー的存在で、その場を楽しく盛り上げてるんだぞ! 良くウルサイって言われるけど。でも、ウルサイって言ってもアレだぞ? 皆を明るくしようと思って……。

 え? そんな事より悩みは何だって?
 アハハ! ごめんごめん、オイラ良く話が逸れるって怒られるんだよねー! この前も親父に……。

 あ、ハイハイ。オイラの悩みね。
 さっきからも言ってる事なんだけど……。



 オイラ、女の子に全然モテないんだ……。



 何だそんな事って、オイラにとってはすっごく大事な事なんだよ!
 そりゃあオイラだって女の子にモテたいよ! でも、みーんなカイルかヒューの所に行っちゃうんだよなぁ……。

 ん? 親父はまた別だよ……。

 まぁでも、オイラはカイルやヒューと違って顔も良くないし、これと言った取り柄もないし、頭も良くない。
 はぁ〜あ……。

「ジャック、何してんだ?」
「あっ、ヒュー……」
「何をそんな辛気臭い顔してんだ?」
「いやぁ……どうやったらオイラも女の子にモテるのかなって思って」
「はぁ?」
「ヒューやカイルはカッコイイから女の子にモテるけど、オイラは顔がこんなだから女の子は寄って来ないし……」
「あのな」
「それに……オイラなんて何の取り柄もない役立たずだし」


ガンッ


「イデッ! 何すんだよ、ヒュー」
「お前なぁ、そんな事でウジウジ悩むんじゃねぇよ。お前のそれは個性だろうが。お前とカイルは違う。オレとお前も違う。勿論、オレとカイルも全く違うものだ。それは当たり前の事だろ?」
「うん……」
「それにお前は役立たずなんかじゃねぇ。お前が居るだけで場の空気が明るくなる。それに、知らない奴ともすぐに仲良くなったりするだろ? アレはオレには真似出来ない……オレには無いお前の魅力だ」
「ヒュー……」
「ったく、何言わせんだよ! とにかく、そのうちお前のその頬のヒゲが可愛いとか言う物好きな女が現れるかもしれねぇだろ! 色んな女に言い寄られるより、一人の女から好かれる方が良いだろ」
「そっか……ありがとう! オイラすっげー嬉しい! ヒューってやっぱり優しいな。オイラ、女の子の気持ちが解るよ!」
「気色悪い事言うなよな。ほら、行くぞ」
「あ、おう!」

 やっぱりさっきの悩みは無し!
 カイルはカイル、ヒューはヒュー、オイラはオイラだもん。皆それぞれ違って当たり前なんだよな。
 人と違うのは個性。個性って、とっても素敵な事だよな!

「オイ、早く来いって! 誰と喋ってんだ?」
「何でもない! 今行く!」

 タタタッ……








 人と違うのは当たり前。

 人と違う所が自分の個性。

 個性は魅力なんだ。だから全然恥じる事なんてない。むしろ、誇れる事なんだ。
 自分の個性が魅力だと気付けば、世界はもっと広がるかもしれない。
 これから彼の世界も、きっと変わって行く……。





―END―









ジャックのお悩み。普段と少し趣向を変えて書いてみました。
誰しもコンプレックスとか、こういう悩みなどを抱えているのではないでしょうか。
プラス思考でいきたいですね。



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