クリスマスのプレゼントとして、日ごろの感謝の気持ちを込めて、手作りの品物を送ろうと思った私は、ふくろう通販で毛糸と編み針を注文していた。
今日はその品物が届いた日だった。
例によって大広間で食事をしていると乱暴にふくろうが私の所へ包みを落として行ったのだ。
…だから乱暴だってば。重かったのだろうか、ふくろうは飛び方がヨタヨタしていた。
皆に中身は何かと興味を持たれたけど、私は絶対に秘密にした。
だってばれたら大変だもんね。
部屋に持ち帰り包みを開けてみる……うん、ちゃんと注文した物が届いているようだ。外国は仕事が適当だからな、気をつけないと。
私はまず、デザインから考えることにした。
おじいちゃんはもう考えてあるんだ!まさしく、グリフィンドールのネクタイと同じカラーのマフラーにしようと思っているのだ!だっておじいちゃんにはぴったりだ。端の方にイニシャルを入れよう。
あともう一人…本命(?)の教授は、悩み所なんだよなあ。一応何種類かの色の毛糸を注文したんだけど、どれにしようかなあ。
一番無難な所として黒、茶、青、そしてボルドーの色の毛糸を注文したんだけど、教授のイメージとしては黒だろう。でもそれじゃあ面白くないんだよ。もっとさあ、ピッタリとマッチするような色にしたい。
私はかなりの時間うーんうーんと考えた末に、色はボルドーにすることにした。あと、デザインは特にしないことにした。その方がカッコイイもんね。
おじいちゃんと同じく端の方にイニシャルを入れることにする。ここは黒にしよう。
うん、これなら教授にピッタリのはず!教授、喜んでくれるかなあ。
それから夜なべをして、コツコツと編み物を始めた。
最初はおじいちゃんから作った。何せ久し振りに編み物をするので、練習も兼ねて…ごめん、おじいちゃん。
単色じゃあないから、結構時間がかかってしまった。教授のマフラーが間に合わなくなっちゃう!お菓子も、クッキーは早めに作ろうとしてたんだけど、ぎりぎりになりそう。
部屋で編み物をしていたけど、寒くなってきたので夜皆が寝静まってからこっそりと談話室に行って暖炉の前で編み物をすることにした。
大丈夫だよね、誰もいないし。かなり遅れているから、急がないと…せっせと編み物をしている時だった。ハーマイオニーが起きてきたのだ。
「何してるの?」
「ああハーマイオニーああ見ちゃだめだよこれはちょっとあのう」(必死で隠すが見られてしまう)
「まあ!マフラーを編んでいたの?」
「……(ばれちゃった、しょーがない)うん、とってもお世話になった人にさ。クリスマスプレゼントにと思って。普通の贈り物じゃなくて心を込めたかったんだよね。僕、こんなことしか出来ないからさ」
「素敵な色ね…それにとっても上手じゃない!誰にあげるのかしら?」
「それは秘密!ハーマイオニーだって教えられないよ」
「あら、それは残念ね」
「僕が編み物をしていたのは内緒だよ?誰にも言わないでね?」
「もちろんよ!私達“友達”だものね!」
「そうだよ!じゃあ急がないと…間に合うか心配なんだ」
「そうなの…話しかけちゃって御免なさいね。じゃあ先に休むわね」
「うん、お休み〜」
ハーマイオニーに見られちゃった。絶対に他の人には秘密にしてくれると思うけど、教授がつけてるの見たらばれるかもなあ。
ハーマイオニーって鋭いからな。ま、しょうがないよ、ばれたらその時考えましょ。
私はそう思ってまた編み物を再開した。
大好きの気持ちを込めながら…。
ハーマイオニーはマフラーを編んでいるのを見て、心の篭った贈り物も良いわね、とほんわかした気持ちになったのだった。
そしてその後、編み物が女子の間で大ブームとなるのだが、それはまた別のお話…。
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