薬瓶を磨く。そして棚に陳列。
また磨く。そして棚に陳列。
また、磨く。中身を見てはいけない。ひたすら集中するのだ。自分に言い聞かせた。


私はこの間全身ずぶ濡れになってしまい中断された懲罰の続きをしていた。
教授ったら、恋人であったとしても大目に見るとか、負けてあげるとか一切ない。ある意味教授らしいっちゃあ、教授らしいんだけど、もうちょっと柔軟な姿勢になってもいいんじゃないかと思う。そんなこと、教授には口が裂けても言えませんが。

教授は今日、フレッドとジョージにいたずらされたお陰で、すこぶる機嫌が悪いからだ。
も〜なにやってるのあの双子。するんだったらフィルチにしてよ!ピーブスとかさあ。
私はぶつぶつ言いながら作業を続けた。教授は何かの薬を調合していた。

「…我輩はちょっと用があるので部屋を出るが…さぼらないように」

と私に言うとゴブレットを持ってどっかに行ってしまった。はあ、少し息抜きができそうだ、良かった。
私は薬瓶を拭く手を止めると、う〜んと大きく伸びをした。ずっと床に座って薬瓶を拭いていたのだ。つ、疲れた…ちょっと休んでもばちはあたらないだろう。
そう考えた私は、主のいない間の何とやら、で教授の部屋を探検しよう!と思い立った。


後で、好奇心を出したことを死ぬほど後悔することになるんだけど…。






教授の部屋ってば飾り気は全くといってよい程ない。これじゃあおじいちゃんの部屋の方が面白いものが沢山あるよ。
だって教授の部屋の中本だらけ。お年頃(?)だからエロ本の1つでもないのかと思って探したけど皆無。この部屋にある本はみーんな専門書。あと薬草、薬瓶(私が整理中)。

こうなったら逆に心配になりますが…。

クローゼットをこっそりと開けてみる…怪しい品があったらどうしよう。どきどきの瞬間。
しかし当然ですけどそんな品物はなく、教授がいっつも来ている部屋着(黒シリーズのローブ、服たち)があるだけだった。いや、普通は見える所になんて置かないか。
つまんな〜い。教授の秘密を独り占め♪しようと思ったのにい。
私は溜め息をついた…ああ〜ずっと作業してたから喉渇いた。
ふと目をやると棚の所に飲み物があるのを発見!あ、ジュースがある!
見つけてしまったら飲みたくってしょうがなくなってしまった。…いいよね、薬品棚にあるわけじゃないし、どうみてもジュースだもん。オレンジジュースみたい。

「喉が渇いたので飲んでもいいですか教授?いいですね?」

えへん、無言は肯定とみなす!私はジュースの栓を開けるとぐいっとジュースを飲んだ。美味しい〜!喉が渇いていたから…ごきゅごきゅと飲んでしまう。

「はあ〜!美味しかった…って…あ…れ…?な、んか…変??」

飲み終わった瞬間、身体が熱くなり息遣いが荒くなってきた。ひょっとしてこれお酒とか?いや、アルコールは感じなかったけど…。
それともこれって危険な飲み物だったとか。

 
や、 や ば い!


解毒剤、どっかにないかな、教授が戻ってくるまでに何とかしないと…。ばれたらそれこそヤバイ事になる!
私がアセアセと辺りを必死になって探していると、足音が…!!げっ!教授が帰ってきた。最悪!せめてばれないように振舞わないと…!!
ドアが開く音がした。

「さぼらないよう言ったはずだが…さらに懲罰を受けたいのかね?」

教授が帰ってきた。私は胸がキューンとしていても立ってもいられなくなってしまう。ああ、教授の声を聞くだけで切なくなってくる…。
はああ?これって変かも?どうなっちゃったの?冷静な部分の私はおかしいって言っているけど、気持ちが制御できなくなってきてる。どうしよう、まだ薬瓶は残ってる。懲罰は終わってないのだ。その間隠し通すことができるだろうか?

「…す、すみませんすぐやります!」

私はなるべく教授の顔をみないよう薬瓶のところへ急いだ。こうなっては何とか速攻で懲罰を終えて寮に戻るしかない。私は必死で薬瓶を磨き出した。
私が必死になって隠そうとしてるのに、教授ったら私の側に近づいてくる。

「…もう少しだな」

教授の声が近い。心臓の音が大きくなる。はあ、そんなに近づいちゃ、駄目だって…。薬瓶を拭く手元がおぼつかなくなってきた。

「?どうした?気分が悪いのか?」

教授がさらに私に近づいてくる…ああ、もう駄目!
私は教授の方に振り返ると、教授を押し倒した!もう愛しさが止まんないの!

「セブルス…あのね…苦しいんです…この苦しみから救ってくれるのはセブルスだけ…」

教授の胸に顔をうずめて囁いた…。教授は驚いていたが、

「何処が苦しいのだね?」

と聞いてきた。冷静な私はやめろ〜!って言ってるんだけど、もう一人の私が暴走しちゃって止まんないよ〜!

「胸が苦しい…愛しくてたまらない…ねえ…抱いて…」

ぎゃ〜何て言葉言ってるんだ私のこの口ってば。私が飲んじゃった飲み物ってば興奮剤か何か?
今すぐ消えて無くなりたい!
私がそう言うと教授はぴきーんと固まった。
はれ?教授?いつもの冷静な教授なら“寝言は寝てから言え”とかって言いそうだけどなんで何も反応ないの?
教授は私の顔を覗き込んだ。自分でも顔が火照っているのがわかる。あの変な薬を飲んでからずっとこうなのだ。

「…お前…あの棚にあった薬を飲んだな?」

教授が焦って聞いてきた。教授が焦るなんてやばい薬なの?

「…喉が渇いて…ジュースだと思ったんです、飲み物が飲みたくて…。でも今はもっと欲しい物があるの…」

私はそう言うと教授の喉元に吸い付いた。我ながら大胆だなおい!

「…っあ!…こら!やめたまえ!」

教授が珍しく止めてるよ。いつもは教授が好き勝手やってさ、手加減しないのにね?
私はキスを繰り返しながら、

「ねえ…抱いて…抱いてよ…」

と教授の耳元で囁いた。は、恥ずかしい〜!

「僕を…教授のものにして…早くしてよ…もう一秒だって耐えられない…」

私が教授の耳を甘噛みしながら囁いた…これでもオチないの?耳元にキスをする。
教授が一瞬ためらった後私を抱きしめてきた。

「これは本意ではないが…こうするしかあるまい」

そう言うと教授は私を抱き上げて寝室へ向かった。教授、ええ?まさか… ま  さ  か本気ですか?
ベットの上に私をそっと寝かせると教授はキスをしてきた。

「ああん…きょ…じゅ…んんっ!」

いっつも恥ずかしくって押し返したり逃げ惑ったりしてるんだけど、今日の私は積極的だ。だってキスに答えてる。教授の頭を両手で掴んでそれはもう積極的に…ひゃあ〜凄すぎるう!
教授は唇を離すと何かを口に含み、またキスをしてきた。
私の口の中に流れ込む何かの液体…んん?これって…。

「…解毒剤だ。非常に不本意だが、今回はお預けだ」

教授、不服そう……ってあれ?あれれれ?苦しいくらいだった愛しさがかなり和らいできた。
やっぱりあの飲み物のせいだったんだ。

「…………………あははは…うわ〜んセブルスごめんなさい〜!」

私は恥ずかしさのあまり布団を被った。教授の顔をまともに見られない。あ、あ、あんな恥ずかしい台詞と行動をしてしまうなんて…!!
教授ははあーっと溜め息をつくと、

「…まったく危ない所であった」

と言ってきた。…危ないって何が?私は布団から顔を出すと、

「危ないって何が…?」

と聞いてみた。すると教授は、

「ほう?お前はその若さで初体験をするつもりだったのかね?」

と恐ろしいことを言ってきた。はああああ?ってことはひょっとして危なかったって…私の貞操が?

「!!!いやそんな!まだ早いです大人の階段飛び越えすぎですから!」

そうだよキスだって早すぎるくらいでしょ!
教授はニヤリと笑って、

「そうですな。あんなに可愛く迫られたら我輩も男ゆえ我慢はできないかもしれぬな」

そう言うと私のおでこにキスをして、

「次はないぞ」

と言ったのだった。
あ、危なかった〜。




教授に後で聞いた話だと、あの瓶のジュースみたいな薬は誰かのいたずららしい。
ホグワーツ中で被害に遭った生徒が多数おり、教授に相談があったというのだ。被害に遭った生徒は上級生らしいけど。
だから私達下級生は知らなかったし、教授の部屋にあの薬があったのかあ。教授が言うには催淫剤のような作用があるということだった。

その後しばらく休ませて貰った後残りの懲罰を再開した。…やっぱり教授って手加減なしか!
あの薬を飲んじゃった懲罰は不問にしてくれるっていうことになった。…ほっ、良かった。絶対怒られると思ったのに。




その薬が教授の部屋に残っていたのはもっと狡猾な理由があったのだが…。主人公はその理由にはもちろん気づかないのでした。


(当たり前だ…我輩はスリザリンですぞ?)

/
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -