最近、我輩は欲求不満だ。

秘密の部屋の騒動があって、生徒が次々襲われている…それゆえ、仕方ないのかも知れぬが…。
生徒を守る為、我輩達教授陣で授業後の移動や、トイレへの付き添いまでしなくてはならない始末。
それゆえ、もう長い間、お前と会っておらぬ…。

お前と会えるのは、授業の時か、大広間で食事をする時だけ。
ほんの一瞬、目を合わせ、お互いを数秒間見つめるだけだ。
その数秒に、思いの総てを込めて………。


ああ、お前のその可愛い顔に、愛を囁きたい……。思い切り抱きしめて、深いキスをしたい。
お前の声が聞きたい。ちょっと恥ずかしそうにするその表情が見たい。震える睫の先を、間近で見ることができたら……。

「だめ……」

と言いつつ、我輩の愛撫に恥ずかしがりながら感じてゆくその様を見たいのに……我輩の恋人に会いに行く時間さえつくれぬのだ。
我輩は溜め息をついた。

お前のことを思って、食欲も無い……この恋の病はもうどうしようもないな。我輩は苦笑した。

恋人同士なのに、またもや見つめるだけの関係に逆戻りとは…な。




そんなことを考えてばかりいるので、中々レポートの添削が進まぬ。こんなことではいかんな。我輩は杖を振ると紅茶を出した。
そして、寒くなってきたのでローブを羽織ろうとしたその時。
お前の香りがふとしたのだ。


我輩は驚いた。知らぬ間に我輩の部屋に忍んで来ているのか……?我輩は気配を探るが……お前はいない。
我輩の気のせいか…?そう思いローブに袖を通したそのローブから、お前の香りがしたのだ。
ああ……これはこの間、料理を作ったときにお前が羽織っていたから…か。
この香りを感じて我輩は、お前がいると勘違いしたのだな。
ローブを着ると当然もうお前の温もりは感じないが……お前の香りに包まれて、まるで抱きしめられているような気分になる。


その香りはひどく官能的であった。

我輩はあの日の激しい愛の時を思い出した。可愛い喘ぎ声や、恥らうしぐさなど……あの日も、お前は本当に可愛らしかった。我輩が自分を抑えられるか危ういと感じてしまうほどに……。

我輩はローブをかき寄せると、思い切り深呼吸をした。胸いっぱいに広がる愛しいお前の香り……ああ、何て安らぎに満ちているのであろう。

我輩は安らぎに包まれ、次第にうとうとしだした。
本来ならば、居眠りなどしないのだが……最近あまり眠れない状態が続いていた。お前のことが心配であるということもあるが…。



愛しい恋人の香りに包まれて我輩はまどろむ。ああ、せめて夢でもいいから、お前に会いたいものだと考えながら。

/
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -