ぽかぽかとした陽気。満腹のお腹。穏やかな風が吹いていて、さらに、背中合わせで大好きな恋人がいたとしたら…。
こんな状態が続いたらどうなると思います?

そう……、眠くなるってことですよね?

せっかくお気に入りの本を読もうと思って、持ってきて読んでいるのに、眠くってちっとも文字が頭に入っていかないのだ。
心地よい…本当に心地よい幸せな気持ちに包まれて、私は次第にウトウトしだした。
だって、教授も悪いんだよ?私を毎晩寝かせてくれないから…。
毎日あんなに愛されたら……身体も疲れて当然でしょ?
本当に教授ってばエッチなんだから。
そんなことを考えてこっくり、こっくりと船を漕いでいると、ふと、気配がしてクスリと笑う声が聞こえた。

「眠いのかね…?」

教授が聞いてくる。
当たり前でしょお〜?誰が眠くさせたと思ってるの?まったく…。私はそう思いながらも何とか返事をしようと試みた。

「う……ん…。ねむ……」

私の返事に教授が小波のように笑うのが聞こえた。
教授……何だか嬉しそう……。どうしてかな?私が不思議に思っていると、教授は言ってきた。

「そうか…それでは我が愛しの君よ、この我輩が素晴らしい寝床をご用意させていただこうではないか?」

そう言うと教授は、私の身体をちょっと支えて、私の頭を何かに乗せてしまった。驚いた私が目を開けると、教授の顔が真正面に…!!
ってことはこれって膝枕?うわ、すっごい恥ずかしい〜!!
以前に教授にしてあげたことがあったけど、これってこんなに恥ずいものだったなんて…!!(作者注:拍手御礼“極上の寝床”を参照)
教授はとっても嬉しそうに笑うと言ってきた。私の髪を梳きながら。

「どうだ?極上の寝床とは言いがたいだろうが、もたれて眠るよりは良いであろう…?では眠りたまえ…。我輩は、お前のように歌など歌うことはできぬが、お休みのキスならば得意なのでな…。お前が良い夢を見られるよう、お休みのキスをしてやろうではないか」

教授はそう言うと、私にキスをしてきた。


最初は額に。
そうして次は両瞼に。
そして次は両頬に。
そうして鼻に。
最後は……唇に……。


唇のキスは触れるキスじゃなかった。教授は舌を絡ませ、散々に私を味わう。ふうわりと香る、ワインの香り……。さっき教授が飲んでいたから…。
私はすっかり酔ってしまう。教授のキスに。私はワインなんて飲んでいないのにね?
そうして耐え切れずに両腕を教授の頭に廻すと、私もキスに答えてしまう。
もう、眠気なんてどっかにいってしまった。教授のキスに感じてしまって……。


長い長いキスの後、教授はやっと唇を離してくれた。
けどこんなんじゃ眠れるはずがない。身体が疼いて堪らないよ…。私は切ない視線を教授へと向けた。
教授は妖しく笑うと言ってきた。

「どうしたのだ?そのように欲情した顔をして…。ここは外ゆえ、これ以上のことはできぬぞ?誰が見ているか…聞いているかわからぬゆえ…」

教授のイジワル…。そんなことを言うなら、最初から私に触れなければいいのに。中途半端に煽らなきゃいいのに。
そんなこと…わかってるよ?教授…。
私だって外でそれ以上のことをして欲しいわけじゃない。


もっとして欲しいだけ…。
もっと教授のキスが欲しいだけなのに…。


きっと教授だって解ってるんだろうね?だからそんなにイジワルな顔してるんでしょ?私からねだったりすることなんて殆どないから。
けど…今は、今だけはそうじゃないの…。
ちゃんとして?沢山してよ……。そうしてくれないと嫌。
けどそれを正直に言うなんて酷く恥ずかしい…それにはしたないことだよね?まだ昼間なのにさ…。
だから私は見つけてしまった。言うに丁度良い口実を。見つけてしまったら言わずにいられない。危険な台詞を。

「ねえ…セブルス、喉、乾いたな…。何か飲み物を頂戴よ」

私はそう言いながら、バスケットに入っているワインを見つめた。だって飲み物なんてこれしか持ってきていないのだ。私が持ってきたお茶はもう飲んでしまったから。
けど私が言っている渇きっていうのは喉じゃないから…その言葉の裏にある気持ち…教授、あなたならわかるでしょ?
私が潤んだ目で教授を見つめると、教授は妖しげな微笑を浮かべていたけど、解ってくれたみたい。

「そうか…お前はとっても喉が乾いていると、そう言うのだな?」

すっごく甘い声だった。私は胸がドキドキしてきた。
自分でいったこととはいえ…大胆だったかしら……?
けれどもう引き返せない。第一私自身が引き返したくないもの。だから私は答えた、禁断の、その言葉を…。

「そうだよ…?だから頂戴よ、セブルス…沢山頂戴?僕の喉の渇きを…満たして……」

教授はバスケットからワインを取り出すと、そのまま煽るように口に含んだ。教授の喉にワインが滴り流れる…その光景は酷く…ああ本当に酷く官能的で…私は胸が妖しくざわめくのを抑える事ができない。
教授はワインで濡れたその唇を私の唇に重ねた。
とたんに口の中一杯に甘いワインが流れ込んでくる。私はそれを飲み込んだ。
けど教授の唇は離れない。教授の舌は、私の感じやすい場所を的確に刺激してくる。舌を絡めながら何度も…何度も…。
私は教授に縋りつきながらキスを返す。ああ…自分から誘っておいて、これは凄いかもしんない…。


この行為は延々と続いた。ワインがなくなるまで……。
私はすっかり酔ってメロメロになってしまった。

教授のキスに…?それともワインに…?
ぐったりと教授にもたれながら私は思ったのだった。


両方かも知れない…ね?

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