結局、教授にしっかりと捕らえれて愛されてしまった私は、教授の部屋にお泊まりすることになったのだけど…。教授は朝起きるとしっかりと言ってきた。
「それで…欲しいものがないのかね?今すぐでなくとも良いから考えておきたまえ」
教授…忘れてなかったのね。私はうーんと考え込んでしまった。
だって欲しいものって言ったって…教授以外、欲しいものなんてないよ?
それに…もうそれは私の物だって言ってくれたし。私はその時のことを思い出して自分の顔が赤くなるのを感じた。
「どうしたのだ?」
教授が訝しげに聞いてくる。いや、そんなに見つめないでよ、恥ずかしいんだからさ…。
私は慌てて首を振った。
「な、何でもないの…」
そう言って急いで着替えることにする。早くしないと朝食を食べ損ねちゃう…!!
焦る私を見て教授は可笑しそうに笑っていた。
ううう…ひどいです教授……。
それからの私は授業もうわの空。一生懸命に欲しいものを考えた。
だって教授がああやって言ってくれることなんだもん。頑張って考えないと。
ええと…教授の負担にならないもので、お金とかもあんまりかからないものがいいなあ…。
そういうのって…む、難しい…ね?私は眉根を寄せ、ウムムと考えてしまった。
そんな私を見て、ハーマイオニーが不思議そうな顔で聞いてきた。
「何をそんなに悩んでるの…?」
「ああ…ごめんねハーマイオニー、びっくりした?」
「ええ…凄い顔をしてたわよ?」
「あはは…。あ、あのね、もしもハーマイオニーが欲しいもの何でもあげるって言われたとしたら、何が欲しい?」
「ええ?どうしたの突然…」
「いやちょっとさ…。もしもの話!」
「うーん…私が欲しいもの…ねえ。時間とか!」
「時間はあげられないものじゃんか」
「そうよね…それじゃあ新しい魔術書かしら?この間とっても興味深い本を見つけたんだけど、とても値段が高くて…。私のお小遣いじゃあ手がでなかったから…」
「ハーマイオニー…本、欲しいんだ…」
「だって…何でもいいんでしょ?じゃあ本当に欲しいものをねだったほうがいいに決まってるじゃない!あなたもそうした方がいいわよ?誰に言われたか知らないけれど…ね?」
「な…!ぼ、僕は別に―――」
「はいはい、今、授業中だから静かにね〜」
「ううう…ハーマイオニー…ひどい…」
私は授業に戻るハーマイオニーを見ながら口をギザギザにしていたけど、ふと思ってしまった。
そうだよね?本当に欲しいものをねだった方がいいに決まってる。
遠慮なんかしないで…私が本当に欲しいもの…。
どんなお願いも聞いてくれると思う、教授なら…。私が欲しいものなら、何だってくれると思う…教授なら。
私はそう考えて、あるお願いをすることにした。
だって…私が欲しいものは、物じゃないの。物なんかじゃあ、ないんだもの……。
放課後、そっと教授の部屋へ向かった私。胸をドキドキさせて教授の前に立った。
教授は私を見つめると言ってきた。
「その顔は…。欲しいものが見つかったかね?」
私は恥ずかしかったけど言うことにした。
だって私が欲しいものはこれなんだもの…。
「あのね…セブルス…。断っちゃ嫌だよ?」
「フ…断ったりせぬから、ほら、早く言いたまえ…。そんなことをじらしてどうするのだ?」
「あ…あのね……きしめてほしいの……」
「??何だ?よく聞こえなかったのだが。ちゃんと大きな声で言いたまえ。お前の欲しいものなのだろう?」
「あ…だからね?セブルスに…抱きしめてほしいの…ずっと、抱きしめてほしいの…。僕は、それがほしい……」
私が真っ赤な顔をしてそう囁くと、教授は持っていた羽ペンをポトリと落としてしまった。
あ…やっぱり駄目なのかしら…?物じゃないと駄目なのかな…?私は教授のその反応にしゅーんとしてしまった。
「やっぱり…駄目…かな…?」
ローブをイジイジしながらつぶやくと、教授は可笑しそうに笑ってきた。
酷いよ教授!どうしてそんなに笑うの?
私が思わず頬を膨らませて怒った。教授は笑いながら私の側にやってきた。そうして私を抱きしめてきたのだ。
「まったく…お前ときたら。欲がないというかなんというか…。そのような願い、いつでも叶えてやるのにな…。むしろ我輩はお願いされなくとも、いつもしたくて堪らぬのに…そんなものを欲しいなどと言われたら…」
「言われたら…?」
「我輩は抱きしめて離さぬぞ…?いつまでもな…」
教授の声は、とっても甘い声だった。私は胸がきゅうんとしてしまう。
「離さないで…いつまでも…」
私も甘い声で囁き返した。そうして教授をぎゅっと抱きしめた。
教授はクスリと笑うと、私を抱き上げてソファーへと向かった。そうしてそこに腰を下ろすと、私を膝の上に乗せて、しっかりと抱きしめてくる。
「だがな…お前は誤算をしているぞ…?」
教授の声…何だか妖 し げ ?
「誤算って…なあに?」
不思議…。教授ったら何を言ってるのかな?
教授はクックッと笑うと言ってきた…とってもセクシーな声で。
「このようにお前を抱きしめたら…それだけではもう済まぬのだ、我輩はな…」
そう言うと教授は私の首筋にキスをしてきた。
え?そんなことを望んだわけじゃないのに…教授のエッチ!
「あ…はあっ……や…駄目だってばぁ…。ああんっ!…そんなことまで…望んでないってばぁ…ああ…ああん…あんっ…」
必死で止めようとしているのに、教授の手は蛇のように私の身体に絡みつき、その唇が、その舌が私の肌を這い回る。
「そのようなお願いをされて…男なら、堪えられぬ……。今日は…お前を抱きしめて…そうだ、抱きしめながら愛してやろうではないか……」
「ああっ…駄目だってばぁ…それ…じゃあ…僕の欲しいものと…ちが…くぅん!…や…やあ!ソコ…だ…駄目だってぇ…!」
「クク…そんなことを言って…お前だって欲しくなる…欲しくなるはずだ……」
「ああん…ヤダ……そんなこと言っちゃ…や……。はあんっ……あああんっ!…」
教授のバカぁ…。
私は本当は女の子だから…抱きしめて欲しいって言ったら、それ以上の意味なんてないの!
教授は男だから…抱きしめたらその先がしたくなるかもしんないけど…けどそこを堪えてほしいのに…。
私を愛しているのなら…我慢してくれるはずでしょ?ああ…それなのに…教授ったら私の服をほとんど脱がせてしまって、ありとあらゆる所を愛撫しだした。私を抱きしめたまま。
私は喘ぎながら抗議した。
「これ…じゃあ…きゃ…んっ!…僕の…欲しいものと…ああんっ…変わっちゃ…う…よぉ…」
教授は愛撫しながら甘く囁いてきた。
「狼にそのようなお願いをするからだ…。お前は知らぬのだ。我輩はいつもお前の隙を狙っているのに…。お前を見ると…触れると…いつもいつもこうしたくて堪らぬのを、必死で押さえているのだぞ?」
ああ…そんな……。そんな甘い台詞を囁かれたら…、私はもう拒否なんてできないでしょ?
だから私は甘く喘ぎながら教授の髪を乱して囁いた。
「あ…んっ!…セブルスの…えっちぃ…。ああん…でも…でも…だいすき…。シテよ…もっとシてよ…っ…たくさんシてよ…」
教授の目がキラリと光った。
「ああ……たくさんシてやる…。もっとシてやる…。お前を…愛しているからな……」
教授はそう甘く囁くと、私にキスをしてきた―――。
あ〜あ。またもや教授に堕とされてしまった。
でも…仕方ないか。本当のことだもんね?
私の本当に欲しいものは…教授に愛されることだったから…。それが、男が思う方法と、女が思う方法が違っただけでさ。
まあ教授は私が本当は女の子だってことを知らないけどね。
私が教授の策略に堕ちた時、教授は本当に嬉しそうな顔をするんだもんなあ…。あんな顔されたら、嫌って言えないよ。これも愛するがゆえなのかしら…。
悔しいけど…だいすきなの、教授……。もう愛しているだなんて言葉じゃ足りないくらいあなたがだいすき。
私は快感に震えながら、教授にしがみついた……。
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