顔を真っ赤にさせて目を逸らす私達。
一人は、セブルス・スネイプ教授の身体になっている“私”。もう一人は、男の子である“私”の身体になっている教授。
沈黙が重く、教授の部屋を支配した。
そう、私達は今まさに大きな困難に立ち向かっているところなのです。
なにかと言うと…アレですアレ………
入浴―――。
それは、あまりに恥ずかしいトイレを終わらせた私達が、なんとなくお互いの顔を見ることができず、やっと夕食を食べ終えた頃。ポツリと言った私の言葉が始まりだった。
「ねえ、セブルス……お風呂、入っていい?」
汗とかかいて汚いし。何しろ、教授の身体は変な薬を身体中に浴びてしまったので、私は気持ち悪かったんだよね。
それに本来女の子である私にとって、お風呂に毎日入らないなんてそんな汚いことできなかった。身体を綺麗にしたかったのだ。純粋に。
けれど、教授は私のその問いに、何故かおかしなくらい慌てだした。
「なっ………!駄目だ!!お前が…我輩…の…身体を洗う……の……か…?それは…非常に刺――」
「え〜?どうして〜?身体中に変な薬を浴びたんだから、汚いってば。ねえ…身体くらい、洗ってもいいでしょ?何だか…気持ち悪くて……。石鹸を使って、綺麗に洗うから…」
「絶対に駄目だっ!!!」
「だからなんで〜?身体、綺麗しちゃ…ダメなの?」
「……お前……。先程トイレだけであんなに恥らっておきながら……風呂には入っても構わぬとでも言うつもりか?」
「へ…?だって、身体が汚いから…僕が、自分の身体を洗うって…あれ?身体を…洗う……綺麗に…って…僕は…今、教授だか…ら…?!ええっ?!
ちょっとそれは、まずいです〜!!僕が、教授のあんなところとか、そんなところとか、綺麗になんてできないよぉ〜!!」
「だから、そのようなことはしなくて良いと言っているではないか」
「だって〜…。ううう…けど…セブルスぅ…。身体、綺麗にしたいよぉ〜…」
「………だから頼むから、我輩の声でそのような台詞を言うなというに…。悪寒がしてくる…」
「!!わかった!!目をつぶってするから…。目隠しとか!!これなら…手探りなら僕も恥ずかしいけど我慢できるし、絶対にセブルスの身体は見つめないようにするから…。ねえ…ダメ…?」
「ば…っ!!馬鹿者!!な…なにを言っているのだ!ダメに決まっているであろう?!そのような…危険なこと―――」
「危険って…何で〜?見えないし、大丈夫だと思うんだけどな……」
「………はぁ…仕方ありませんなぁ。お前にも解りやすいように言ってやろう。では、我輩も、“お前の”この身体を、目隠をして手探りをしながら、それはそれは丁寧に、丁寧に時間をかけて、綺麗にして差し上げようではないか?」
「?!な…っ!…そ、それはダメだってばぁ〜!!セブルスは…そんなことしちゃ…ダメ!!僕の身体を洗っちゃ…ダメだよぉ…」
「そうですなぁ…目が見えないゆえ…お前のとても敏感なあんなところや、いやらしく反応するそんなところはより丁寧にしてしまうかも知れませんぞ?気持ちがイイからな…?」
「セ…セブルスのエッチ〜!!そんなこと言わないでよ…」
「フ…我輩は別に構わぬぞ?恋人のより感じる部位を体験できる、良い機会ですからな?そうだな…ではこういうのはどうだ?目隠しをして、お互いの身体を洗い合えば良いのではないかね?そのような刺激的なことは、まだしていないからな…」
「すいませんごめんなさい深く考えませんでした〜!!」
「フン、お前が言っている言葉の危険性が理解できたかね?」
「………は、い…」
うう、恥ずかしいよう…。私は思わず想像してしまった。教授が、“私”になってしまった身体を、それはそれは丁寧に時間をかけ自分で洗うというシーンを。
さらに目隠しをしてお互いを洗い合うという危なさ120%のシーンも。
そんなエッチすぎることは絶対にできないって〜!!教授ったら、本当にいやらしい人なんだから……。
けど、あんなにエッチなことを言う教授も、実はほんのりと頬を染めていたりして。
私はそんな教授の反応にも、またもや恥ずかしくなってしまうのだった。
結局、すったもんだの挙句、私は入浴を諦めたのでした。
だって、しょうがないよ。1日くらいお風呂に入らなかったっていっても、死ぬわけじゃないしね?
けれど…ちょっぴり残念な私もいたりして。
だって私だって、教授のあんな敏感なトコロとか、実は逞しい教授のそんなトコロとか、とっても時間をかけてそれは丁寧に、綺麗にしちゃいたいなんていけないことを、ちょっと、いや本当はかなり考えちゃったりしてたのだ。
教授…私もかなりエッチになってきちゃったみたいよ?あなたが私にいやらしいことばかりするから、だから私は心も、身体もいやらしくなってしまったのね。
だから教授、やっぱりあなたには最後まで責任をとってもらわなくちゃ駄目みたいよ?
ね?教授―――。
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