こういうことをしてはいけないのは解っている。
わかっているのだが、やめられない……。
我慢できない。記憶に留めておくだけでは、もう満足できない。
それゆえ、我輩はこのようなことをしてしまうようになってしまった。
お前の…あられもない写真を撮るなどということを……。




我輩がこのようなことをするとは信じられぬ。自分が一番驚いておるのだ。




それは、あの日、我輩達がマグル世界に旅行に行った時のこと(作者注:Interlude“私を旅行に連れてって”8話目を参照)。


「あの……撮ってもらっても?」

観光をしていた我輩達は、大英博物館にいた。エジプトコレクションを見ていた時、見知らぬ観光客から、何かを頼まれたのだ。

「撮る…とは何をだね?」

その観光客は銀色の小さな箱を持っておった。……何だアレは?
不思議そうな我輩に、その観光客は驚いていたようだが、他に頼める人も考えつかぬのか、我輩に教えてきた。

「これは“デジカメ”ですよ?カメラです…」

マグル界のカメラとは、小さなものであった。さらに、様々な機能がついているようだ。教えられた通りにシャッターを切る。すると小さな画面に、今しがた我輩が撮影した光景が写っておるではないか!

「これは…素晴らしいですな……」

我輩の感想に、その観光客は嬉しそうに言ってきた。

「そうでしょう?!これ、新製品なんですよ〜!新しい機能がついていてなんと―――」

その観光客の話は、我輩の心をときめかせた。
なるほど……。そのような良い機能が沢山ついておるのか。現像も、自宅で簡単に出来るらしい。専用の機械があれば。
そう、


“専用の機械があれば、自宅で現像が簡単にできる”


我輩は特に、ここに惹かれた。
ということは、だ。専用の機械とこの“デジカメ”というヤツがあれば、我輩の夢が実現するということか…?
これは是非購入せねばなるまい。


そうして念願のデジカメと現像の機械を購入した我輩は、夢であった撮影を開始したのであった。
そう……我輩の恋人の写真をな。




あのような扇情的な場面を、永遠に残しておけたら……。

記憶の中だけでなく、実物として。それは男の浪漫だろう。いや誰が何と言おうがそうであろう。世の男性諸君は、おそらく同じ意見であると推察できる。
我輩はついにその方法を手に入れたのだ。これは是非利用しない手はない。一番の良い点は、あられもない恋人の写真を、誰にも見られずに、自らの手で現像できるという点にある。

そうだ。我輩の恋人の刺激的な痴態を眺めることができるのは、我輩のみ…そうでなければならぬ。

マグル製品がきちんとここ、ホグワーツでも作動するよう、我輩は魔法をかけた。
フ…我輩を誰だと思っておるのだ?そのような魔法を作り出すことなど、朝飯前に決まっておろう。
これからのことを考え、我輩の胸は妖しくときめいた。


もうすぐ、最高の被写体がやってくる。
あやつを、どうやって堕とし、淫らにさせるか……我輩が考えるのは、そのことばかり。
我輩が息を呑むくらいの、この心が、身体が震えるくらいの最高なひとときが始まったら、我輩はその瞬間を逃さず、永遠に閉じ込めよう。
我輩の記憶の中と、この写真にな……。我輩は妖しく、ニヤリと笑った。


我輩の部屋にノックの音が響き渡る。ああ、時間だ。そのノックの音は、これからの、素晴らしいひとときの始まりを告げる音―――。

「セブルス…いる?」

我輩は愛しい恋人に返事をする。この胸を切なくときめかせながら。

「ああ、入りたまえ………」

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