長く生きると、様々な不思議な経験をするものじゃが…まさか、ワシが未婚で孫を持つ身となろうとは、人生は不思議に満ちておるの。



ワシにはこの年になってから初めて、可愛い孫ができたのじゃ。
しかも東洋人。おまけに素性が不明じゃ。
セブルスが開心術をかけたが、あの子の記憶は探れなかった。不思議なことじゃ。




過去のない子供……。

あの子には、記憶とよべるものが一切なかった。まるで生まれたての赤子のように、何もなかったのじゃ。
ワシとて最初は疑った。この時期に、あのような場所に倒れていたということは、闇側の手のものかと、そう思ったのじゃが。
あの子のあの純粋な眼差し……あれは、闇に堕ちた者の目ではなかった。

むしろ光の、穢れを知らないような―――。



年寄りの道楽、とワシは言ったが、それだけではないのじゃ。
あの子の魂の輝きを、ワシは感じた。あの子の自身が持つ、魂の輝きに、魅せられた、と言っても良いかのぉ。セブルスは反対したのじゃが、ワシはあの子の魂の輝きに、可能性に、賭けてみる事にしたのじゃ。
あの子はこの、アルバス・ダンブルドアの孫になった。
魔法省が何やらゴチャゴチャと煩いからの、そこはホレ、ワシの、“ちゃーみんぐすまいる”、という“かいしんのいちげき”でファッジを落とし、家系図を捏造しておいた。

ほっほっほ………“力は必要な時に使う”のが正しい使い方、じゃの☆



あの子は最初から、何故かとてもセブルスに懐いておるようじゃったの。あの子は本当に人を見る目がある。セブルスの本質を見抜いたのじゃろう。うむ、さすがワシの孫じゃな!
成長するあの子を祖父として見る……。それが、これほどまでにワシの心を幸せで満たしてくれるとは、ワシは想像すらしておらんかった。
あの子はとても優しい子で、友達想いで、そして努力家じゃのぉ。何故あれほどまでに鍛錬する必要があるのじゃ?毎日、朝早くからトレーニングをしておるのを見かけ、ワシはそう思ったのじゃが……ワシはハリーから賢者の石の事件の後、話を聞いて理解したのじゃ。


お前は……ワシと交わした“お願い”を守っておるのじゃな……今も、そしてこれからも……。


なんという真っすぐな子じゃろうか。ワシには勿体ないくらいじゃの。
ワシは嬉しくてどうしようもない。本当に、自慢の孫じゃの。ワシの身体がもっと自由になったのなら、お前と話したいことも沢山あるのじゃが…。ワシは確かめなくてはならないことや、調べなくてはならないこと、準備をしなければならないことなどが多すぎる…。

校長とは、つらいのぉ…。



それにな、やっと孫が出来たと思ったら、セブルスに奪われるとはな…。
ワシは近い将来、セブルスに「おじい様」などと呼ばれる日が来るのじゃろうか。


なんだか……ムカつくのぉ……。セブルスの奴……ワシの可愛い孫に手を付けおってからに…。
あの子があれ程セブルスのことを愛していなければ、絶対に許さなかったのじゃが…、



あのように幸せそうなあの子を見たら、引き離すなどとても出来んわい。
セブルスよ、命拾いしたの?




じゃが、ワシはまだお前を婿と認めたわけではないぞぃ?婿修行は厳しいのじゃ!心してかかってもらわねば。
ワシはフォークスに話しかけた。フォークスも、あの子が大好きなんじゃ。

「のぅ、フォークスや……将来の婿どのには、厳しく接するべきじゃろうて。お前もそう思うじゃろう?」

するとフォークスは尾羽をキラリと光らせるとワシの側へと飛んできた。そうして嘴をワシの手に擦りつけてくる。ワシは笑った。

「フォッフォッ……そうかそうか……お前も同じ気持ちなのじゃな。では、婿殿への次なる試練は共に立てようぞ……」

ワシはフォークスにそう囁くと杖を振り、紅茶を飲みながら作戦を練ったのじゃった。




(何やら寒気がする………校長がまた良からぬことでも企んでいるのか…?:教授)

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