ふと、触れ合う指先。
少し冷たいあなたのその指先は、あなたが、とても繊細な人という証のようで、なんだか嬉しい。
鼻筋はとても通っていて、うらやましくなるくらい高い。
瞳は、闇の色。だけど、ちっとも恐ろしくない。
私と同じ瞳の色のはずなのに、あなたのその瞳は、私の全てを包み込むように、優しい闇の色だから。
長い睫。自然に少しカールしてるの。それがなんだか可愛らしい。
そして薄い唇。大抵は皮肉げに歪んでいることが多くて、その唇から零れ落ちる言葉はとてもじゃないけど、お世辞にも優しいとは言えない。
いつも、辛辣で皮肉ばかり。けれど……その唇は、私にだけは、酷く甘い、砂糖菓子のような言葉を、落としてくれる。
私にとって、世界で一番大切な人……。
「どうかしたかね?じっと見つめて…。我輩の顔に、何かついているのか?」
教授の素敵すぎる顔のパーツを間近でこっそりと愛でていたら、教授に言われてしまった。私、じっくりと教授を見つめすぎたのかな?
私は教授に擦り寄りながら言った。あなたの隣に座るくらいじゃ、その手を繋ぐだけじゃ、もう、我慢できないみたい…。
「うん、ついてるよ?」
「何が、付いているのだ?」
「うーんと……澄んだ夜空みたいに綺麗な瞳とか…、羨ましいくらい高くて整った鼻筋とか…薄いんだけど、触ってみると意外に柔らかい唇とか……?」
「お、大人をからかうものではないぞ…」
「からかってないもん!全部、僕の大好きなモノだもん。僕はね、あなたのどんなところも、セブルス…それがあなただから全部大好きなんだよ?」
「……レイ、お前という奴は…ッ」
「僕ね、きっとセブルスがどんなに年を取っても、禿げようが、入れ歯になろうが…ずーっと大好きだと思うよ?
だからね?セブルス……」
「………だから、なんだ?」
「ずーっと…いつまでもあなたのことを愛してるから…だから、セブルスも僕のことをずーっとずーっと………好きでいてね…」
衝動的に言ってしまった私の台詞ごと抱きしめるみたいに、教授は私を一瞬ぎゅっと激しく抱きしめ返してくれた。
それから教授は、私の身体を少し引き離すと、突然、私の鼻をむにゅっとつまんできた。
「なにすんのら〜…」
私の鼻がもっと低くなるじゃん。
「馬鹿者。当たり前のことを言うな。そのようなこと、たとえ頼まれなくともな――」
教授はそう囁きながら、最後に私の耳元へ唇を寄せてきた。そうして一言。
「我輩だとて、そうするつもりだ……。レイだけを、愛しているのだから……」
そう言って教授は、私にキスをしてきた。
寄り添い、微笑みあい……いつまでもあなたと愛を確かめ合いたい。
ずっとずっと大好きよ…私の、大切な人―――。
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