「いらっしゃいませ。ようこそおいでくださいました……」
素敵な格好をした店員さんの声に、軽くお辞儀をしながら店の中を見回した。
お店の中は、乙女の夢が実現した、みたいな素敵なつくりになっていた。
天井には素敵なシャンデリア。照明がランジェリーを素敵に照らしている。置いてある小物達もすっごく可愛らしい。あ、あの手鏡なんて可愛いかも。
けど、やっぱりなんといっても一番素敵なのがランジェリーだった。
色々な種類が売っていて、そんじょそこらのお店にあるよなモノではない感じ。
フリルやレースは高級そうだ。
私に買えるのかしら……。内心冷や汗を流していたら、店員さんが控えめに言ってきた。
「お気になったものがございましたら、お手にとってご覧下さいね」
「はい…ありがとうございます…」
何気なく、ブラを一つ手に持って値段を見てみる。
うん、さりげなく、さりげないかんじで……って高っ!!
なに、この値段。こんなに面積小さい商品が、コート1着分近くするんですか……。
私が呆然としていたら、店員さんが解説してくる。
「そちらは人気商品ですわね。レースがふんだんに使われていますの。こちらの商品はフレンチレースを使用しておりまして、付け心地も自然ですし、とてもセクシーに見せてくれるはずですわ……」
「フ、フレンチレース…ですか…」
「ええ、そうですわ。下着の中でも、最高級品にしか使われておりませんの。ここに置いてある商品はほとんどがフレンチレースを使用しております…。お客様は失礼ですが、アジアのご出身ですか?」
「ええ、そうです。出身は日本です」
「まあ!どうりで瞳がお綺麗だと思いました」
「目が…?」
「ええ。アジアの方は瞳がとても美しいでしょう?あなた様の瞳は黒いですが、よーくご覧になるとわかります。瞳の色は黒ではなく、ブルーですわ。
ということは、ブルー系のランジェリーを付けられても、お似合いになりますわよ?」
「ブルー?」
「ええ、とても綺麗なブリリアントブルーですわ……。こちらの商品なんて、如何かしら?」
そう言うと、その店員さんはとっても素敵なブルー…というか濃い藍色のスリップのようなものを持ってきた。
店員さんが説明してくれる。
「こちらはホルターネックになっておりますの。ハイウエストになっておりまして、その部分にはフレンチレースを使っております。
ふわっとしたデザインで若干、透け感がございますが、それがまた男性のハートを釘付けにするのですわ。付属でパンティも付いております…」
とても上品なデザインで……それでいてセクシーな感じ。私はひと目見て気に入ってしまった。
もし、これを着た私を見たら、アランはどんな顔をするかしら。
目を見開いて驚く?
それとも、はしたないって怒るかな…?
ひょっとしたら…気に入ってくれるかも?
「アイネ……そんな素敵な格好をして…私を試しているのかい?」
そう言って、私を愛してくれるかしら……。
ドキドキしながらそんなことを考えていたら、店員さんが嬉しそうに言ってきた。
「気にって下さったようですわね。こちら、お値段も手ごろですの。というのはあまりふんだんにフレンチレースを使っていませんので…。
もしよろしかったら、ご試着されますか?」
え。下着ってあんまり試着したことないよ…。恥ずかしい…。
私が顔を真っ赤にして断ろうとすると、店員さんはきっぱりと一言。
「フィッティングはされたほうがよろしいですわよ?お体のラインに合わないこともございますから…」
店員さんはそう言うと、私をフィッティングルームへ連れて行ってしまう。って私まだ返事していないんですけど〜!
あれよあれよという間に試着させられてしまった。
着てみると、意外に似合う。
上品な色使いとデザインの中に、セクシーさも垣間見えて…。
勧められるままに、お揃いのブラも買ってしまう。だってそのままじゃあバストが透け透けなのだ。
「ナイトライフにはブラは必要ないでしょうけれど…ね……」
店員さんがポツリと爆弾発言を言った。
……はずかしー!!
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