5 再会
車がたどり着いた先は、どこかの港で――ってここってひょっとして……?
エスコートされて車を降りると、そこに見えるのは一隻のクルーザーだった。夜景がキラキラと輝いている。この場所と、そしてクルーザーがあるってことは………。
「レイ待ちくたびれたよ。逢いたかった……」
そう言って微笑んでいるのは、私の大好きな人…アラン・リックマンだったのです。
「アラン!」
私は駆け寄った。アランの元へ…彼の腕の中へ。
周りなんてどうでも良いの。誰が見ていたって…どんな風に見えたって。だって、私は今、アラン…あなたに抱きしめてもらうためにここにいるんだもの。
「来ちゃった…」
「レイ…」
「アラン…だいすき……」
「私だって、レイを愛してる」
ぎゅうっと力強く抱きしめられる。彼のその腕の感触や、コロンの香りが……これが決して夢ではないことを、私に教えてくれた。
「寂しい思いをさせてすまない…」
「ううん、アランだって忙しいのに…ごめんね」
「レイ……君って人は……」
アランの息遣いが一瞬荒くなる。かなり顔色が良くなったアランは、咳払いを一つすると私に言ってきた。
「今日は、忘れられない夜にしよう。さぁ、私のお姫様……こちらへどうぞ?」
微笑みながらアランはそう言うと、私に手を差し伸べてくる。
その仕草が酷く私の胸を騒がせるから……私はただ、頷いて手を差し伸べることしかできそうにない。胸がいっぱいで…アラン、あなたに再び出逢えた喜びに、歌いだしてしまいそうよ。
アランは私の手を取ると、船の中へ私をエスコートしてくれたのでした。
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