※微裏表現あり。苦手な方は回避してください。
その胸は、完璧な美しさだった。
形も、大きさも。
では、感度はどうかな……?私はそっと、だが素早く唇を寄せて確認した。
「あ…ぁんッ」
甘い吐息を付いて、顔を真っ赤にさせるヨウコ。ああ、私を誘っているのか?
いけない娘だ。スパイのくせに、初めてのような恥じらいを見せて。
そんな隙を見せるから、私に囚われるんだ。
私は、ヨウコを見つめた。するとヨウコは、潤んだ瞳で私を見つめてくる。濡れた瞳の、なんと扇情的なこと!
流されてしまいたい……ここで、今すぐに。
最近ご無沙汰だから、そんなことを思ってしまうのだろうか。
暴力の世界とは一見無縁の、スパイには到底思えないような純粋な娘を相手に、私がこれほど欲情するとは。
震える唇に指を這わせ、私は囁く。フ……これではどちらが囚われているか解らないな。
だが仕事は仕事。私の命にも関わることだ。確認はせねばならない。
この娘がスパイならば、それ相応の対応が待っている。
もしもスパイでない場合は…………。
「正直に答えることだ…。じゃないと――」
「じゃ、ない…と……?」
「もっと君を暴いてしまうよ……?」
そう言いながら私は、娘のその、なめらかな脇のラインをなぞった。
とたんにゾクリと身体を振るわせ、身体をわななかせる娘。思わず私の身体も熱くなってくる。
これほど私の感情を揺さぶる女性に出逢ったのは初めてだ。
「だって…だって…ッ」
息を荒くさせて、なんとか答えようとする娘。その都度、大きな胸が素敵に揺れる。
もう一度味わってみたい……。
心ではそんなことを考えながら、私の身体は違う仕事をする。
娘を壁にもっと押し付けながら、その完璧なヒップラインをなぞり、スカートの中にそっと手を忍ばせた。
「だって?」
「は…ぁ……ッ……そこはダメ…ッ」
「何故?君が言わないからだろう……」
私は娘の耳元に軽くキスをしながら、ブラと同じ素材の、セクシーなパンティに手をかけた。
いよいよ、禁断の場所へと手を伸ばした私を遮るように、娘の声が部屋に響き渡った。
「言うからッ!……ちゃんと言うから…っ…」
残念だ……。非常に残念だ……。
胸をほんの少し愛撫しただけなのに、震えるほど感じた子だ。ソコはもっと感度が良いはずだろうに。
まぁ、良い。続きは後でにしよう。
私はパンティにかけていた手を止め、娘に尋ねた。
「何故、私に贈り物を…?」
「あ……貴方の事が気になっていたから…」
気になっていた?なんだそれは。
「気になっていた、というのは具体的にどういうことだ?」
まさかそんな嘘を付くとは。子供だって思いつきそうなネタだぞそれは。
娘はしばらくの間の後、思い切ったように言ってきた。
「す、素敵な人だなって思ったの…ッ!!だから、気持ちを伝えたくなって…」
「毒入りチョコレートを贈った、と?」
「だからそれは何かの間違いよ!他の人がしたんだわ―――」
「箱には君の指紋だけしか付いていなかったと言っただろう。見え透いた嘘を付くんじゃない。第一何故私の名前を知っていた?」
そうだ。私の名前を知っているのはどう考えても不自然だった。この名前は、限られた人間しか知らないはずなのだ。
やはり、この娘はスパイなのか…。素晴らしい演技派だが。
私がそんなことを思っていると、娘の答えは意外なものだった。
「名前は教えてもらったのよ、管理人さんから」
「管理人?」
なんだと?
「彼、“君が何を考えているかわかるよ”って言って、協力してくれたの…」
「協力?」
どういうことだ?私は眉を顰めた。
すると娘は頬を真っ赤に染めながら、私から目を逸らしつつ、ぼそりと言ってきた。
「ば、バレンタインも近いし、チョコでも送ってみたらって言ってくれて。贈り物をドアの前にまで運んでくれたの。
わ、私、さすがに置きに行く勇気はなくって…。だって貴方と鉢合わせしたら大変でしょ……」
そういうことか!
私としたことが……気が付かなかった…!
私は、脅されているはずなのに、何故か可愛らしく恥じらいながら答えているヨウコをまじまじと見つめた。
私は誘拐犯なのに、監禁し拷問している相手に対してそんな表情をするとは、な。
これは……そういう事と見て良いな。私は心で溜め息を付くと、娘に言った。
「ヨウコ……まずは座ってくれ。詳しく話を聞こう…」
(H23,12,21)
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